母のタイムスリップ日記
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2006年03月23日(木) 贅沢なプレゼント


 母の所に出向く。伝えなければならない事があった。
母はソファーに座っていた。
私と視線が合うとニコニコする。
あまり 良いお話でないので直ぐに話すのは躊躇われた。

「トイレ行く?」と聞くと「行く」と言うので誘導した。
既に出てしまった後で空振りかと思ったが トイレに座ってもらったらちゃんと排泄できた。
濡れた感覚がない様子だった。きっと 大分感覚が空いたのだろうと感じた。それでも 排尿の感覚は確かにある様子だ。
昨日 空振りに終わった大だが…。今日は 何とか誘導に成功した。
大分おりてきているようで ガスも溜まって痛みが有るようで トイレで泣き出した。一度目の排泄が済んで立ち上がって貰ったが 泣き止まないし「出る?」と聞くと「出る」と返事するので 更に頑張ってもらった。
泣きながら 途中いきんだりして 何とか排泄が出来た。

それから手洗い 歯磨き。
そして お散歩に誘った。
今日は時間がないので 直ぐ裏手にある公園に出た。
小山の前に行き「上ろう」と言うと「ここを上るのか?」と拒否をしたそうに聞いてきた。
「そうだよ。頑張って上ろう」と声をかけて登り始めた。
出来る限り 母の力で上れるように傾かないための補助だけにした。
途中 止まりそうになったり後ろに下がりそうになったりした。
そういう時は ちょっとだけ引いてあげた。
上り終えて「高いよね」と言うと「うん」
「偉かったね」と言うと「うん」
それから ゆっくり降りて大きな石に腰を下ろしてお茶とおやつを食べて貰った。

桜の蕾がピンクになっているので「ホラ もう直ぐ咲くね」と言うと 「桜だね」と同意した。
飛行機雲が一直線に伸びていたので「ほら 飛行機雲動いているね」と言うとまた 空を見上げて「ほんとだ」と返事した。

落ち着いた頃を見計らって 母の親友のご主人が亡くなったことを伝えた。
「死んだの?」と絶句。
「葬儀があるけれど どうする?」と聞くとジッと考え込む。
そして 視線を通行する人に向け「アッ あれ」と話しだす。
いくら話してもそうだった。
亡くなった事 葬儀に行く事をそれぞれ理解してもつながってないようだ。
おそらく これが認知症独特の症状なのだろう。
母の心に亡くなった哀しみはきちんと湧いている。その事を改めて感じた。

母には「葬儀に参列したかったら 私が着いていくから…」と話してある。
葬儀は ひと月後である。

公園から遠回りして帰り トイレ誘導してから施設を後にした。

夜 新日フィルの定期演奏会に1人で出かけた。
娘がチケットをくれたのだ。
久々に一人身で楽しむ。響くものがあった。
癖になっても 母の事が有るので そう度々行ける所ではないけれど…。
贅沢な時間を過ごさせて貰った。娘よ また 声をかけてね♪ 有難う♪

溜池山王駅を降りて サントリーホールまで裏手を通って行った。
桜坂を登ったのだ。
3分咲きの夜桜を行きも帰りも眺めた。
これも ちょっと普段できないことだ。

帰路の電車は 会社帰りの人たちで偉く混雑していた。
ちょっと横はいりされて立ち通しだったけれど 腹も立たない。
贅沢した後の余韻かな?


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