母のタイムスリップ日記
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今朝は意識して早めに母を起した。 朝食は覚醒してから食べて貰いたいたかったから。 しかし 階段を下りるという事を意識しているようで 大分不安そうで険悪な状態となった。 「偉いね」「頑張り屋だね」「凄いなぁ」とありとあらゆる褒め言葉を駆使して気持ちを引き出した。 不穏さほど 大変な思いもせずに下りられた。 しかし泣く事には変わりない。 恐怖を抱かせて「親不孝だな」とつくづく思う。
「ごめん」と謝ると「ごめんと言われても…」と泣いていた。 それでも洗面したりしているうちに気持ちも和んできた様子で 懸命に自力で食事をしていた。 家族との食事は 多少の意地もあるように見える。
娘はお友達とお出かけ 夫も会社の年賀状を見に出かけた。 夫は 天候が悪くて乾かない洗濯物をコインランドリーまで持ち込んで乾かして来てくれた。
家に二人だけになった時 お風呂に入れた。
我が家は 介護にふさわしい介護環境にない。 おそらく 環境としては施設のほうが母は安心できる筈。 我が家での暮らしは 母にとって不安でたまらないだろう。 それでも 目いっぱいの方策を取る。 立位の保持も危うい今の母なのだ。 だからトイレでもズボンをあげる時には トイレのドアに鍵をかけてそこに掴まって貰うようにしている。 壁にもたれかかっても危ういのだ。
こんな調子だから 入浴は取りやめようかとも思った。 それでも入れてあげたい。 泣く事は承知。入ればきっと喜んでくれる筈…と信じた。
湯船いっぱいにお湯を張った。 こちらは短パン姿。 浴室暖房をいれて温めた。 そこへ母を連れて行き タオルバーに掴まって貰い衣類を脱がせた。「何するの!」と怒り加減の母。 「ごめんね」と言いながら着替えの手は休めない。 浴室に滑らないように厚いバスタオルを敷いた。 そこまで両手を引いて誘導。 浴室には 手すりはない。 これから 湯船に入るのには…と考え始めたら「やんだ」(嫌)と拒否。 「あのね 風邪引くよ」と言うのだが…これから先の事で不安がいっぱいの様子だ。「無謀だったかな?」と思い始めるが…後戻りできない。 すのこにゆっくりと座ってもらい 足の方を湯船に入れて貰って 湯船の中から母の腰を引いた。我が家の湯船は半分埋まっているタイプなのだ。 姿勢が低くなり不安が和らいだ様子だ。 ぬるめのお湯なので恐怖心もない様子。 ここまで来れば 折り返し地点も同様である。 湯船の中で西洋風呂よろしく ゴシゴシと洗い始めた。湯船に浸かった母は案の定気持ち良さそうである。 全身を洗い終えて 今度は洗髪。 これも施設でやったように 湯船の端に頭を乗せてもらい天井を見て貰いながらゴシゴシ。。。 濯ぎは シャワーで。。。耳にお湯が入らないようにタオルを巻いた。 それから 湯船の栓を抜いてお湯を流す。 そして シャワーのお湯で体全体を洗い流した。
さて ここからが大変だった。 先に湯冷めしないように空になった湯船で身体を拭いてあげた。 今までは両手を引いて上がって貰っていたが 骨折以来左手の痛みがあって手を使って上げる事は出来ない。 母もまた不安がった。 仕方がないので 母の腰に両手を廻して 湯船から引き上げた。 母は恐怖心から足を動かしてくれなくて 湯船の端に足を引っ掛けたまま。 強めにギュッと引き上げてようやくすのこの上に腰を下ろせた。 後はバスタオルの上なので立ってもらうのに危険はない。 足を拭いてからゆっくりと一緒に立ち上がる。 勿論 腰にしっかり両手を廻して…。 直ぐに脱衣室に移動してシャツ類を着用。 後はリビングに移動して椅子に座ってもらい温かい部屋で洋服を着た。
「綺麗になった」と母は言った。 「ごめんね。怖かったでしょ。気持ちよくなってよかった!嬉しいわ!」 母は軽く頭を下げた。
「神様が呼んでくれたんだね」と母は言った。 「そうだね。神様が与えてくれたんだね。感謝だね」
「おかちゃん 私が邪魔しているみたいだ…」 「そんなことないよ。来てくれて有難う。みんな嬉しいよ」 母の目が涙でいっぱいになった。鼻水までも…。
夕食の支度を始めた。 蕪のサラダと味噌汁を作るために母に作業を頼んだ。 テーブルに蕪を持ち込み 包丁を渡し「御願い これ剥いてもらえる?」 「いいよ」となかなか作業に入らないので少し皮を剥いて母に渡したら動き始めた。時々中断しながら 5個の蕪を剥いてくれた。 凸凹は愛嬌である。 夕食には みんな帰宅してテーブルを囲む。 食事は自立。 今日は食事に工夫した。 母のおかずを先に出してあげてみんなが揃う前に食べ始めてもらい みんなが揃った所で主食を出した。 食事は小出しの方が 食べやすいように見えた。
こんな風に順調に来たのに…。 就寝時は大荒れ。 リビングでパジャマに着替えて貰ったら 荒れだした。 おそらく階段恐怖だろう。 トイレ誘導で廊下に出ようとしても「嫌」を連発。 手を引けば「手を触らないで…」と怒り出す。 気を長〜くして 母の気持ちが落ち着くのを待った。 トイレ誘導も無事に済み 階段を上ろうとする時もストライキ。 「あっちの部屋に誰かいる」「上るの嫌」を連発。 「眠る所は2階で お布団もしいてあるのよ。寒くなって風邪引かないか それだけが心配」と話すが「ここでいい」とストライキ。 母の気持ちが落ち着くのをじっと待ち タイミングを掴んであの手この手で何とか寝室まで行く。 勿論 泣いていた。 今日も幾度も手を振り切られた。 不自由な動きの中での移動はどんなにか怖いだろう事は十分理解できる。 だから 母の気持ちの落ち着くのを待つしかなかった。
しかし いろんな事を思い出せないのに…恐怖心だけは強烈に焼きついているのだ。頑張り屋の母であっても かなり怖いのだろうなぁ〜。 3泊4日の我が家でのお泊り…母にとって ほんとに良かったのだろうかと思う。 明日の朝 もう一度だけ恐怖体験が待っている。。。
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