母のタイムスリップ日記
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2005年08月21日(日) がぁ〜んばれっ!!


夫は 30年以上前 片道切符で欧州に旅立った。
欧州で 1年以上の時を過ごして 戻ってきた。
私と出会う前のお話である。

以来 ひたすら走り続けて来た夫。
あの頃の 夢と希望と希望 何処に置き忘れてきたのだろう…。

今 夫を見つめる時 くたびれた姿が痛々しい。
考える気力すら失いつつあるように見える。
じゃ 自分はどうだ…と言われれば 似たようなものかもしれないのだが。
ここは 先ず夫の事。

畑を借りたのも夫鋭気を養えれば…と思っての事だった。
しかし 畑に立ち向かっていく気力は見えず 計画は失敗。

どんな事に興味を示すかと あれこれ考えてきた。
娘とも時折 話しこんでいた。

娘が「パリに出かけたいな」と言った事がきっかけに「夫をヨーロッパに送り出してみようか?」と言う案が浮上した。
経済状態は 誠に厳しいが それより夫の気力が大事だ。

家の事会社の事から離れるには やっぱり海外だろう。
僅かな旅費を準備して送り出す提案をしてみる事に決めた。

今日 娘と二人で「お父さん ちょっと話があるんだけれど…」と切り出した。
夫は 何か文句を言われるのでは…と身構え始めた。

「あのね 家の事会社の事はひとまず置いて ヨーロッパに出かけてみない?勿論 一人旅よ。 若い頃と今では 大分受け止め方が違ってきていると思うのよ。何がどう変わって来たのか 見てきたら良いのではと思うのよ。旅費は準備するから…」と話し始めた。
夫の顔がみるみる内に緩んで行くのが見て取れた。

「1年と言うのは きっともう無理と思うけれど 半月からひと月で…。
どうかしらね?」

夫の気持ちが動き始めた。
「但し 準備は自分でするのよ。計画もね。企画立案 実行はお父さんよ」

「ん〜 パリは変わらないだろう。。。フランス あ デンマークにも行きたいな。あの叔父さん まだ生きているかな?」と思い出を辿り始めた。
「凱旋門を見たいとは思わないよ」
「そりゃ 娘と一緒だわ」
「あのね。お父さんが出かけて戻ったら その後 娘が一人旅するの」
「その後 ヨーロッパ感の報告会ってどうかな?」
夫はニヤニヤしていた。

「いいかもしれない。旅費は自分で準備するよ」
「会社を開けるのは 影響の少ない12月ごろかな?」
「いや 12月は結構日本からの海外旅行客が多い。かといってヨーロッパの夏はみんなバカンスだ。行くとしたら11月かな?」

娘がノートパソコンを持ち出し「11月なら もう旅券の手配した方がいいよ」と提案。

この計画が実行できるかは夫次第だ。
どうなるでしょうね?
でも この提案に夫の気持ちが動いたのは間違いない。
久々に緊張の取れた表情だ。

「がんばれ! 今のうち。 60までは まだ少し余裕がある。この時を逃がしたら 感覚がまた違って来るんだからね。今だよ今」と娘と口を揃えて後押しした。



 


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