母のタイムスリップ日記
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洗濯を済ませて母の所に向かう。 ゆっくりと過ごそうと思っていたがどんな風に過ごすかは母次第と。
始めに目が合った入所者の方に いつものように手を振ってみた。 が視線を合わせようともせず無視された。 幾度 チャレンジしても無視…。「あ〜あ」と言うと笑っていた。 からかわれているような雰囲気。 其の時 職員が「朝から 珍しく機嫌悪いのですよ」と言われた。 「毎日 毎日 朝になると起きろ起きろとうるさいんだよ」と言われたそうだ。いつも 柳に風のごとく あまり動じる事のない方なのだが…。 たまには それ位 好きなように言った方が良いのかも知れないなぁ〜。
もう1人の入所者の方は にこやかだった。
母も最後に声掛けしたが 特に機嫌が悪くなる事もにこやかだった。 しかし トイレ誘導でも着替えでも 言葉を聞き違えて通じなかった。 耳が遠いから と言う理由ではないし落ち込んでいるとも思えない様子。 言葉を理解できない様子だった。 それでも 着替えた後鏡の前に連れて行くと きちんと身なりを整えていた。外出と言わなくとも 雰囲気で感じている様子に見えた。
外に出ると「暑い あつい」を連発。 ハンカチを渡すと汗を拭いていた。 バスに乗った時は「あ 涼しい」と。 ほんとに 流れる汗がスーッと引いていくのが判った。
バスターミナルで降りて お買い物。 「どうしようね 美味しいもん食べる?それともお風呂?」と聞いてはみたが言葉の理解を得られない。また 汗が噴出してきたので「風呂しかない」と思い家に向かった。 バスを降りて ついでに畑に寄った。 お風呂の後の畑では また汗にまみれてしまいそうだと思ったからだ。
しかし 母は大分疲れているようにみえた。 畑に足を踏み入れて ミニトマトを収穫して貰おうとしたら足元がふらつきトマトの支え棒にしがみついた。 危ないので こちらがしっかり支えてトマトを収穫してもらう。 このときだけは 楽しそうだった。 トマトをポケットに入れたり…だ。 危なっかしいので 早々に畑を離れた。 歩道橋を登って我が家に向かう足取りは非常に重たく 前に前に屈み背中もまぁるくなって行った。 「疲れたよ」と何時になく弱気の言葉が出た。 この暑さだから 体力消耗も激しいのかも知れない。
家に着いても玄関で靴を脱ぐ気力すらなかった。 椅子に座ってもらい 直ぐに水分補給した。 あまり 飲まないのでコーヒー寒天に変えた。 冷たくて適度の歯ざわりがあるせいか全量食べた。 程なく昼食。 ご飯の上に好物のお肉を焼いてのせてあげたが 肉は食べてもご飯が進まない。たけのこと蕨の煮付けは少し箸が進んだ。トマトも食べていた。 大根の味噌汁も大丈夫だった。 ご飯だけが残ってしまい 仕方ないので漬物のみじんきりをのせて混ぜてあげ何とか全量摂取できた。 食事に要した時間は40分程度。まあまあの所だ。
冷たいお茶を飲んで貰った。 食器洗いをして貰おうと下準備したのだが 疲れている様子なので中止。 新聞を見てゆっくりして貰う。
気のせいだろうか 話しかけると「判らない」と言う言葉が実に多いように感じた。話しはほんとにかみ合わない。
言葉を発しない訳ではないのだ。いつもと同じようにと言うより発している言葉は多いのである。 「小さいあの子は○×??」と聞くので「次男?」と聞くと「うん 」と言う。「仕事しているから…後で来るって」と言うと「四角が○×だから」と全くかみ合わない。
何かを訴えようとしても 言葉が出てこなくて 言葉を捜しているうちに 何を話そうとしたかすら 忘れていると言う感じである。 こちらも 安心するように「判った」「そうだね」「大丈夫?」と頻繁に声をかけていた。 苛立っている様子や嘆いている様子もなかったのだが…。
お風呂に入るときも特に機嫌が悪くなかった。 だが 浴槽から出たいのに適切な言葉が出なくて「出るの?」「まだ入っているの?」の両方に頷いてしまうと言った具合である。 こういう 現象がずっと続いた。
風呂上りに アイスクリームを出したら「甘い」と嬉しそうな顔。 更にところてんを出したら「美味しい」と言っていた。が食べた量は多くない。
意思疎通がうまく行かないって なかなか大変だ。 言葉のヒントすら掴みきれない。。。
足の爪を切っている時に「こっちが痛い」と訴えてきた。 左足の外側である。 丹念に確認して行くと どうやら腰から来ている痛みのようだった。 時折こういう事が起きるので 湿布薬を4カットにして腰のつぼと足のつぼにそれぞれ張ってあげた・「どう?」と聞くと「気持ちよい」と言う。
帰路はタクシーにした。 タクシーに乗り込むとバックと携帯電話が座席にあった。 「忘れ物でしょうかね」と言うと「先のお客さんかな?忘れ物ありませんか?と言ったのに…」と運転手さん。 バックにはお財布も入っていそうだった。 「暑さのせいでしょうかね」と言うと「具合が悪そうだったのです」と。
施設に付くと 母の機嫌はますます悪くなっていった。 家を出る前 腹痛がある様子でトイレ誘導したが 空振り。 腹痛もあるようだし足の痛みもあるのだから…機嫌悪くなって当然だろう。
夕食が配膳され母もテーブルについた。 が一向に箸を持つ気配なし。職員が食べやすいようにと器を移動させるとするなと言わんばかりの厳しい目付き。 他の入所にも文句ありげな目付きだ。 「あんた どうしているの?」と私に文句を付けた。 「あら 居ないほうがいいの?」と聞くと「そんなの 自分で考えればいいでしょ」と言う。「そうか じゃ 来ない方が良いかな?来た方が良いのかな?」と聞くと「来た方がいいんだ」と。 筋の通らない話だ。 黙って帰るわけにも行かず 職員と入れ替わり様子を窺い構って見たり引いてみたり…。 少し食事を運んであげると食べた。 ふと見ると 今日はみんな自力で食べる様子はない。
やっぱり急激な気温の上昇が堪えているのかも知れない。 少しずつ 食べ始めて介助をすると嫌がるようになってきた。 時にお茶の中に豆腐をポチャンと入れたり。 慌てて取り出そうとすると「するな」とまた機嫌が悪くなる。 あらかた食べ終えたのをみて そうっと施設を後にした。
職員には 足の痛みと腹痛があることのみはしっかり伝えておいた。
今夜も暑い夜になりそうだ。 ゆっくり眠れればいいが…。適度に冷房も入るだろうから 大丈夫とは思うが…。
母の天気の悪さに 参ってしまった。 次回の面会までには こんな事 すっかり忘れているんだろう。。。
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