母のタイムスリップ日記
DiaryINDEX|past|will
母は フロアでみんなとテーブルを囲んでいた。 後ろからそっと頭を撫でると「すんな」(するな)と言う。 再度 頭を撫でると また「すんな」と言う。 3度繰り返すと怒り出した。 おそらく お腹が落ち着かない状態なのだ。 普通なら 3回繰り返せば後ろを振り向いて「なぁ〜んだ」と言うのに…。
「機嫌悪いみたいだわ♪」と言うと職員が「あらぁ〜午前中は良かったですよ♪」と言われた。 ソファーを見ると母が作ったと思われる張り絵のこいのぼりがあった。 「これ作ったのね」と言うと「そうなのですよ。昨日は それを作ってからチラシを切り抜いて貰ってね。お家やら 小さい物まで集中して切られていました」という事だった。 母は 鋏を使うのも好きである。 最近はあまり綺麗に切れなくなったけれど…。 入所した頃は カレンダーの鳥を切ったり絵を切り抜いてパズルにしたり…いろんな事が出来たなぁ〜。
母を居室に誘導。笑い顔を見せるけれど直ぐに曇る。 「お腹痛いの?」「痛くないよ」 「お腹がおかしいの?」「おかしくないよ」 そんな会話が続いたが 母の顔は曇る。 哀しそうな曇り顔ではなくて 苦しそうな曇り顔なのだ。
「トイレに行きましょう」と言うと居室のドアに向かって歩き出したので「トイレはここ」とトイレのドアを開けた。 「出る?」と聞くと「出ないよ」と言う。 でもお腹をマッサージするとちょこっといきんだ。 ガスが数回出て ちょこっと排便。 これで解決とは行かないが 散歩で気を紛らせて貰う事にした。
「お散歩行くよ」と言うと「行くよ」と言う。 外は寒いので着込んで 手袋をはめた。 歩き方はしっかりしていた。 外に出ると表情も明るくなった。お散歩のコースはいつもと逆周りにしてみた。いろんな物に興味を示し看板もよく読んだ。 「この花何?」と聞いてきたので「クリマスローズだね」と言うと[クリスマスは過ぎたのに…]と言う。判っているとも思えないが タイミングが合っていてちょっとびっくりした。 水仙を見ても名前が思い出せない。桜を見ても思い出せない。 こちらから数回行ってみると 定着したようでそれから暫くはちゃんといえた。
おそらく2キロ弱は歩けたと思う。 最後の方は「疲れた」と言っていた。
居室に戻って窓辺に立った時「あそこ歩いてきたよね」と言うと「そうだね」と言ってジィ〜ッと見つめていた。 母の記憶が繋がっているのだろう。それを更に思い出そうとしているように見えた。
椅子に座って持参したトマトとクッキーを食べてもらった。お茶も飲んでもらった。 その後みんなとおやつを食べた。
散歩の時 葉を広げたばかりの銀杏の葉を数個取った。 5ミリ程の葉をみて「可愛いね」と言った。 だから 入所者にも見てもらおうと持ち帰った。 「食べないでね」と言ってみんなの手のひらに乗せると「わぁ〜」とみんな歓声を上げた。
おやつの後 テレビに見入った母だったので そうっと施設を後にした。 明日はリハビリだ。
|