母のタイムスリップ日記
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2004年09月25日(土) ちょっと 感激


 利用者さん訪問後 娘と一緒に母の所に出向いた。
「良く来てくれたわねぇ〜」の母の言葉は 昔と変わらないのだけれど…。
何時だって 私たちの帰省を待っていたのだ。特に孫と夫には…お礼を忘れなかった。勿論「疲れたでしょ」とも…。

娘が指を使って腹話術で話しかけた。
「あら 指がお話しているの?」と不思議そうな顔をして言った。
耳はすっかり遠いのだけれど…孫の声は良く届くのかな?

暫くして「もう帰るね」と娘が言うと私も一緒に帰ると思って「私も帰る」と言い出した。「私はまだ 帰らないのよ」と言うと「送ってくる」と居室を出た。様子を見ていると娘の後を追うわけでなく窓から外の景色を眺めていた。確かに娘の車は見えるけれど…。そこまで判っているかな?

その後 洗面台でタオルと靴下を洗ってもらう。石鹸の類は出しておいてはいけないので 洗剤だけはタオルと靴下にしみ込ませた。

洗濯を始めた時 職員が入ってきた。
面会の度に母に洗濯して貰い始めている事を報告すると…。
「いつも綺麗に綺麗にキッチンをお掃除してくださるのです」と言われた。
入所して一年くらいは 出来ていただろう。でも 今 キッチンと言う場所では いろいろの物があってそうそううまくお掃除できなくなっている事は家での様子でわかっている。。。
「あら ちゃんと絞れるのですね」と絞ったものに触れて言った。
洗濯の仕方は 回を重ねるに連れて勘を取り戻して上手になっている事を更に報告した。。。

散歩に出た。
川べりの桜並木の枝のてっぺんに「青さぎ」が止まっていた。
細くなっている枝に大きな体で止まれるものだと驚き「ほら あそこ」と教えると「あ 見えるよ」と母も驚いていた。
畑の隅には コスモスが風に揺れていた。
「コスモス…綺麗だねぇ〜」と言った。「コスモス」と言う単語が言えた。
またよそのお宅の鉢に小さな真っ赤な小花が沢山咲いていた。それをいち早く見つけた母は「頑張って咲いているね」と言った。
母は、道端の草花に「頑張っているね」と囁くことが最近とても多い。
まるで 自分との共通点でも見出しているかのようである。

膝が痛い お腹が痛いと言っていたけれど…歩いているうちに解消されたようである。
施設に戻りかけた時 入所者のご家族が帰るところとばったり。
「いいですね。歩けるって…」と言われた。
こちらから見れば 母のような痴呆がない分 羨ましい所で有る。
でも 無いものねだりをしても始まらないし…。
「はぁ〜。せめて歩く事くらいはねぇ〜それくらいしか出来ませんから…」と言うしかない。卑屈な気持ちではない。

居室に戻りトイレ直行。
出る前も小水なし。散歩中もなし。水分はかなり取ってもらったけれど…きっと汗のほうに取られてしまったのだろう。
でも大も小も両方の用が足せた。
「紙をください」と母は言った。思わず耳を疑った。
「何をするの?」と言いながら紙を渡すとちゃんと拭き出した。
いつもワザワザ ロールを目いっぱい引き出し目に留まるようにしておくけれど使われた形跡はないし…紙を渡しても拭き取る作業すら忘れてポケットに仕舞い込んだりシャツの中にしまったりしているばかりなのに…。
ちょっと感激してしまった。
何事も諦めないで続ければ…時折こんな風に繋がる時も有るんだな…。

傘も持たずの来訪で 空と睨めっこをして…降らない内に 施設を後にした。


 


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