母のタイムスリップ日記
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2004年04月01日(木) 謝る事も出来ない…。


 昨日は 母とゆっくり話す暇もなかったし 足の浮腫みが今までになく強かったのが気になり施設に向かった。
母は、入所者の家族とソファーに座って過ごしていた。
このご家族とも最近すれ違いが多く久しぶりにお会いした。
利用者さんを連れてドライブして戻られたご様子だった。

母を居室に呼ぶと「あなた ここに泊まったの?」と聞かれた。
咄嗟に返す言葉を失う。いや、時折同じように聞いてくるのだけれど…判っていても言葉がでなくなってしまうのだ。
「○○(母の名)ちゃんは 何処に泊まったの?」と聞き返した。
すると「あそこ」とソファーを指差した。「へ〜っ」と母の質問をかわした。
こういう時の母は、私がここで生活していると言う感覚なのであろう。

トイレを済ませて「はい。タオル」と渡すと「お借りします」と言う。
こんな場合も聞き流せなくて「ほら、これ○○ちゃんのでしょうに…」とタオルに記名されている所を指す事となる。
すると「借り物じゃないのだな」と言った風に ほっとした顔つきになる。

外に出た。
今日は、暖かだし桜も見ごろである。川べりの桜並木を指して「あれは 何の花だろうねぇ〜」と聞いてみた。
「あれはぁ〜 え〜と」と考え込む。
冗談混じりに「あれは、バラ」と言ってみた。
「あはは 違うよぉ〜」と母。
また「じゃ、梅の花だよ」と言うと今度は笑いながら「サボテンの花」とやり返されてしまった。なかなかである。
おそらく「桜」と判っているんだろうけれど出てこないのだなと想像できた。

ひらひらと花びらが舞う中を 見上げながらゆっくりと歩いた。
いつもの公園の前で「休む?」と聞くが「大丈夫」と休む気配はなかった。
空き地には 延びきった筑紫がぽつぽつと出ていた。母とそれを摘んだりした。手のひらいっぱいの筑紫が集まった。

一時間程歩くと「疲れたなぁ〜」と言うので施設に戻った。
トイレに入って用を足してもらっていると 突然に「逃げて行かないよね」と母が言った。明らかに私に向けて言っているのである。
帰るのも間もない時間である。どうして 判るのだろうか?
ちょっとドキドキしてしまった。

面会の始めは、あんなにぼんやりとした意識なのに…帰り際になると意識がはっきりとして来る最近なのである。
面会の度に「あ〜逃げていったぁ〜」と思わせてしまっているのだろうか?
だとしたら…。

玄関近くで面会の記録を記入していてもチラチラとこちらを見ているのが判る。直ぐに立ち去る事も出来なくて暫く様子をみてから施設を後にした。
親不孝を詫びるしかないなぁ〜。


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