母のタイムスリップ日記
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2004年02月12日(木) 母が母になれた…


 母は息子立ちに会った時「お〜っ」と言う表情をしたが直ぐにテレビ画面に視線を戻した。部屋に移動するまでそれは変わらなかった。
私が訪問しても同じ事が起きるので…弟たちを知った顔と認識できた事の方が嬉しかった。

弟たちは、どうしたらいいものか…と外の景色に視線を移しており…それもまた可哀想かな…と思った。私なら直ぐ部屋に連れて行くけれど、久々に出会う弟たちはそれも出来ないのである。

母を居室に連れて入った。職員が人数分の椅子とテーブルを運んでくださりお茶も入れてくださった。テーブルを囲み何となく家の雰囲気が広がった。
母に「どなたでしょう?」と聞くと考え込んでいる。それぞれの頭の一字を教えてあげると名前は出た。でも関係までは言えない。判っているのか無いのか…判断はつかなかった。
でも今日 娘が写してくれた写真をみて感じた。
表情が和らいでいるのである。
これは言葉で表現できないけれど判っていたんだなぁ〜と感じた。
とても嬉しそうな表情なのである。
この変化はその場で感じ取れなかったけれど…カメラは確実に捉えていた。

弟達と連れ立って散歩に出た。私と母。後を着いてくる弟たち…。
先を歩く母には、後ろの弟たちの存在すら思い起こせない。
いつもの私と母だけの散歩と変わらないのである。
折角来ているのに…残念と思い 度々後ろを向かせた。
「あれ、誰か来るよぉ〜」するとじ〜っと見つめている。名前の一文字を言ってあげると名前が言える。繰り返しやっていたら、母もようやく繋がりを感じ始めたようだった。

それは、弟たちが帰路に着く為に施設から帰ろうとした時だった。
弟たちが、母にさよならをしようとしたが止めて貰った。哀しすぎるから…。でも気配で感じたようで「私も行く!」と言った。
おそらく家族と認識したのである。
弟が母を連れてきて母を置いて帰路に着く時いつも言っていた。「私も帰る」その言葉と同じである。
良かった。そこまで理解できた事が嬉しかった。

母の気を私の方に向けて その隙に弟たちに出てもらった。
それから 母に仕事を依頼して集中しだした頃合をみて私も外に出た。
職員には、「今夜、ひょっとしたら不穏になるかも知れないけれど…宜しくお願いします」と詫びた。


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