母のタイムスリップ日記
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母は息子立ちに会った時「お〜っ」と言う表情をしたが直ぐにテレビ画面に視線を戻した。部屋に移動するまでそれは変わらなかった。 私が訪問しても同じ事が起きるので…弟たちを知った顔と認識できた事の方が嬉しかった。
弟たちは、どうしたらいいものか…と外の景色に視線を移しており…それもまた可哀想かな…と思った。私なら直ぐ部屋に連れて行くけれど、久々に出会う弟たちはそれも出来ないのである。
母を居室に連れて入った。職員が人数分の椅子とテーブルを運んでくださりお茶も入れてくださった。テーブルを囲み何となく家の雰囲気が広がった。 母に「どなたでしょう?」と聞くと考え込んでいる。それぞれの頭の一字を教えてあげると名前は出た。でも関係までは言えない。判っているのか無いのか…判断はつかなかった。 でも今日 娘が写してくれた写真をみて感じた。 表情が和らいでいるのである。 これは言葉で表現できないけれど判っていたんだなぁ〜と感じた。 とても嬉しそうな表情なのである。 この変化はその場で感じ取れなかったけれど…カメラは確実に捉えていた。
弟達と連れ立って散歩に出た。私と母。後を着いてくる弟たち…。 先を歩く母には、後ろの弟たちの存在すら思い起こせない。 いつもの私と母だけの散歩と変わらないのである。 折角来ているのに…残念と思い 度々後ろを向かせた。 「あれ、誰か来るよぉ〜」するとじ〜っと見つめている。名前の一文字を言ってあげると名前が言える。繰り返しやっていたら、母もようやく繋がりを感じ始めたようだった。
それは、弟たちが帰路に着く為に施設から帰ろうとした時だった。 弟たちが、母にさよならをしようとしたが止めて貰った。哀しすぎるから…。でも気配で感じたようで「私も行く!」と言った。 おそらく家族と認識したのである。 弟が母を連れてきて母を置いて帰路に着く時いつも言っていた。「私も帰る」その言葉と同じである。 良かった。そこまで理解できた事が嬉しかった。
母の気を私の方に向けて その隙に弟たちに出てもらった。 それから 母に仕事を依頼して集中しだした頃合をみて私も外に出た。 職員には、「今夜、ひょっとしたら不穏になるかも知れないけれど…宜しくお願いします」と詫びた。
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