母のタイムスリップ日記
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母は、入浴中だった。 お風呂から上がってくるまで、持参した将棋で他の入所者の方と遊んで待った。男性の方は、コックリコックリだったので、女性の方とはさみ将棋をした。 将棋盤に興味を示したFさんに お相手をして貰おうと思い準備したけれど… 残念ながら 興味以上前には進まなかった。 そこへ「子供が小さかった頃 よくせがまれて遊んだよ」とSさんがやってきた。Fさんは、割り込まれても全く気にしないのでSさんにお相手をしてもらう事に…。 ゲームを進めるうちに「ほらここを動かせば取れるよ…」とアドバイスされる。こっちは加減していたのだが そんな加減は必要ないかの様だった。 でもでも 途中で「私ちょっと部屋に行って来るから…」と席を立って其の儘ゲームは終了。 勝ち負けに拘らないゲームと成った。 程なく 母もお風呂から上がってきた。はさみ将棋をしている間、浴室からは職員と母の歌う声が聞こえた。「荒城の月」とかの歌で歌詞もよく覚えているように聞こえたけれど…。 水分補給後、外に出た。 バスに乗って「達磨市」に出かけた。 参道は出店もありすごい混んでいた。 「迷子にならないでね」というとぎゅっと腕組みした母。 こんにゃく屋の出店の前で「食べる?」と聞くと「食べてもいいよ」という母。注文しようとすると母は、前の人をどかすように「ちょっと買痛いのだけれど…もう少し横に行って…」と前の人に紋切り型の声がけをした。 一瞬ヒヤッとしたけれど、周囲はもう高齢者ばかりで、誠に鷹揚でホッとした。一本のこんにゃくを母と分けて食べた。 更に境内に向かって人込みをよけながら進んだ。 たくさんのだるまがあった。大きいのも小さいのも…。小さめの達磨で袈裟の色に塗り分けた達磨が有った。綺麗なのでそれを買い求めて施設へのお土産にした。 母は、外出出来ても、他の方は施設内に留まっているのだから…季節の風を届けようと思った。
母は達磨市に背を向けて帰路の道を歩くと達磨のだの字も思い出せなかった。 風があって少し寒かったけれど…足取りは軽く元気だった。
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