母のタイムスリップ日記
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母はホールのテーブルにティッシュを広げタオルでそ〜っと拭いていた。 どうやら「鼻をかみなさい」と職員に渡されたティッシュだったようだ。 「何してるの?」と聞くと「ここに砂が落ちてね、拭いているんだよ」 「そう。大変だねぇ」どうやら、母は泣いているようで鼻をグズグズさせていた。 何かが起きたのだろうけれど…話せる母では無い。 でも、何か有って母が誰かに謝ったのだろう…という事が想像できた。 「鼻かもうよ」と言うと鼻をかみ始めたのでサッと居室に荷物を置きに走った。戻ると鼻をかみ終えたティッシュを何処に捨ててよいか分からずにワゴンテーブルを動かしてその隙間にはさみこもうとしていた。 「頂戴」と受け取った。
トイレに誘導して後始末をしている時「有難う」と母は言った。 が、続けて「いつも有難うとごめんなさいと言うばかりで…何もわからない…」と呟く声が耳に入った。 咄嗟に返す言葉を失ってしまった。 いつもちゃんとお礼を言えるから 好いなあ…と思っていたけれど「世話をされるばかりで何も出来ない…」そんな思いがずしりと伝わってきた。 一人でパンツをあげた母に「すごいなあ…出来るね。優等生だぁ〜」と返すのが精一杯だった。
「今日、私の家に行くけれど いい?」と聞くと。 「嫌な顔をする人居ない?迷惑ばっかりかけるけれど…」 「大丈夫。みんな○○ちゃんの事大好きだから…」「そうかい。じゃ、行くよ」
エレベーターに乗り込む時「開けゴマ」で空いたドアでようやく笑顔を取り戻した。 外は雪が降っているけれど、母の足取りは軽い。 家に付く頃には、涙目は 消えていた。
母と一緒に「夢ねこ」も連れて来た。 この2日でどんな風に慣れたかを知りたかったから…。 「可愛いねぇ〜」「これ食べる?」「何処を見ているの?」等と猫ロボの視線を追って「これかなぁ〜?」と話しかけたりしている。 怖がったり嫌がったりはなく 安心した。 これなら、一人きりの時でも気が休まるかも…と思った。 昼食時、パソコンの前に夢ネコを置いたら、暴走を始めた。 触れもしないのに…鳴く、動く…。まるで生きているかのようだった。 内蔵されている機械にはよく無いけれど…こっちの方が楽しい…。
リハを受け、入浴、洗髪をした。 寒いのでどうしようかと思ったけれど…これ以上放置は出来なかった。
帰路、久しぶりに駅まで歩いた。距離にして2キロ強の道のりだ。 幸い足の浮腫みも無いし…今日もしっかり水分摂取し尿量も多いので歩く方がいいだろうと判断した。 雪はチラチラ舞っているけれど、これくらい母はどうって事ない筈である。
半分ほど歩いた所で「足痛くない?」と聞いてきた。 これは母自身が痛いというサインでもある。「痛くないけど、○○ちゃんは?」と聞くと「痛くないよ〜…」相変わらず頑張りやさんの母だ。 気分を変えて二人で歌を歌った。 こんなお天気なので歩く人もなく思いっきり大きな声で…。
歌い終えると「頑張るぞ。頑張らなきゃ〜」と言う呟く声がした。 「すごいねぇ〜。とても88歳の人に見えないよ。気合も充分。偉いわ。私のお手本だねぇ〜」と言うと「いや、お手本なんてとてもとても…」と恥ずかしそうだった。
意識して「褒める事」「感謝する事」して行かなければ…と思った。
おまけ 今朝、トマトの味噌汁にチャレンジ。 家族は「好きだよ」の合格点だった。お昼には、タバスコを入れないで母にもチャレンジしてもらいました。 という事で、我が家では好評でした。ジャン ジャン!
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