活字中毒のワタシの日記

2013年02月28日(木) 玄侑宗久『なぜ悩む!』★★★☆☆


玄侑宗久『なぜ、悩む!

玄侑宗久さんとアルボムッレ・スマナサ-ラさんとの対談集。

メモ。

病気の考え方、西洋と東洋。

「病気はあくまで敵になっている。アーユルヴェーダの場合は敵じゃなくて、まあ健康を支えてあげるってことで。だから健康がちょっとでも傾いたら、すぐ戻せという話なんです。アーユルヴィーダでは身体の調子が少々でも傾いたらその段階で病気なんです。しかし西洋的には、ひどく手遅れになった状態が病気なんです。だから手遅れになったら部品を攻撃的に切って捨てるしかなくなっちゃうんです。」(p40)

モノとの縁もそうかもしれない。
使わないままずーーーっと死蔵してあったら、新品なのに黄ばんだりもう用済みになったりして活かせないまま捨てることになる。

スマナサーラさんの言葉。
「我々の日常の立ち居振る舞いっていうのは我々の心の性格、人格を表しているということなんです。」(p108)

だから、いろんなことを整えていく。

これもスマナサーラさん。
「大体いろいろ疑問を持ってきて、こういうことで困っている、こういうことをどうすればいいのかと。だったらこうしなさいと答えたところで、『とはいっても』で全部終わっちゃいます。じゃあ訊かないでください。最初から。自分の状況で満足していればいいんじゃないかと。でも自分の状況で満足出来なかったから、不満があったから訊くんで小に。それならちょこっと頑張らないと、階段ひとつぐらいは上がらないと。
『とはいっても』という日本の社会でよく聞かれる言葉には『自分は耳を傾けない、人の話は聞かない、自分を改良しない』という恐ろしい精神状況が現れているんですよ。」(p129)

そこに気づかず、周囲との調和を大事にしている自分、という勘違いだと。

もったいないについて。

これもスマナサーラさん、『勿体ない』について。
「物としての体をなさないっていうんですか、そのものがそのものである機能を果たさないことが残念であるっていうことが『もったいない』という言葉なんですね。」(p176)


いじめについて。過度の清潔を目指す志向との共通点。
玄侑さん。
「だから汚いから滅菌するっていうのと同じ発想ですよ、あのいじめっていうのは。ところがそれによってバランスが崩れるっていうことがあるわけですよね。本当はみんな必要なんですね。」(p190)

今を生きるということ。
スマナサーラさん。
「だからときどき私は人に訊くんです。いろいろ問題あるでしょうか。みんないっぱいあるといいます。次に私はこの質問を出すのです。では今の一秒で何か問題ありますか、我慢できないほどの乗り越えられない問題はありますか。誰でも決まって、いいえと答えます。」(p194)

今を生きずに、時間をずらすから苦悩や不安や焦燥も生まれると。

「長い間そういう癖で、いつでも明日のことを考えて行きているでしょう。明日のことを考える人は今のことを考えていない、だから今を生きていておもしろくも何ともないということです。だから生きることに失敗しているんですよ。」(p195)

今に生きることがもっとも重要。これが、禅。
今を生きる手助けになるのが、座禅、瞑想。

「不安だという人はね、不安なのが趣味なんですよ。安心したくない、心配していたいんです。不安の種、心配の種というのを常に探してきている。」(p198-199)

目標達成や夢について。
玄侑さん。
「みんなここまで達成したら幸せだっていうふうに思うんですけど、そういう発想では幸せになれないですよね。幸せを感じられるっていうのは、いつやめてもいいことをしているときですよね。」(p199-200)

「掃除だってそうですよ。掃除もきれいにするために掃除するって思っているじゃないですか、大抵はその目的を遂げるために。でも道場みたいに毎日毎日掃除しているとこって、別にいつやめてもいいんですよ、汚くないんだから。」(p200)

この本を読んで、一番響いたのがここ。
きれいなところをさらに磨く。そしてそれはいつやめてもいい。
そんな人になりたいと思った。

そのためには、中間的な目標をたてないことだ、と。
目の前の目標と、遥かな目標を立てるだけ。
中間的な目標が「今を生きる」ことから離れてしまうから。

目標は日々変わってもいい。

スマナサーラさん。
「日々変わってもいいでしょうし。とにかく今日どうすればいいかっていうことはとても大事なことです。今日を失ってはいけないんです。今日やるべきことは全部やっちゃうと、えらい充実感で寝られるし。」(p202)

「目標を設定すればするほど行動力を失う」(p203)

これはあるかも。がつーん。
目標を書いてる時間に、行動できるだろ、と。

楽に生きられるコツの一つ。
死を思うこと。
スマナサーラさん。
「この練習はいくら言っても聞いてくれないとか、なんだこいつらとか、そういう考えが頭に浮んだときに、私はいつでも自分の死を想う。『自分が死ぬという場面では、そんなことは全然関係ないでしょう』と思うと、すごく楽になるんですね。」(p213)

死んでいく自分の目で現実を見直す。
俯瞰する方法としては、かなりレベルが高いかも。そして効果的かも。

「生きることは捨てること」(p236)

今をとにかくきちんと生きよう。

玄侑宗久『なぜ、悩む!



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