刑法奇行
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2002年03月13日(水) シュトラーテンヴェルトその2

天才M教授の生活に、シュトさんのことが書かれている。シュトさんについては、私も一言いわずにはいられない。なぜなら、彼の教科書第3版は、今は亡き中野次雄先生との長きに渡る講読書だったからである。今でも研究室にぼろぼろになった3版がある。懐かしい院生時代が蘇る。酒井、大塚、関、萩原、中空、洲見、信太、武藤などなど、週1回中野先生と9号館の共同資料室で講読をした日々が走馬燈のように蘇る。
中野先生は、類いまれな裁判官であったことはいうまでもない。講読の際、刑法上の問題について数え切れないヒントを得た。江戸っ子で気さくであり、終わると必ず、早稲高の前にあった、カフェ・ド・ジュネス(成文堂の元編集長藤井喜代子さんがママさんだった)でケーキとコーヒーである。そして、ヘビースモーカーの先生がタバコをくゆらせながら・・・。そして、必ず、ヴェルツェルと会ったときの話。先生が「目的的行為論は過失犯を説明できないのではないか。」と聞くと、「お前はできる」という答えが返ってきたという。4月からS大に移るS氏によれば、「100回聞きましたねー」。ということは、我々は計100回笑ったことになる。
ジュネスには何回も行った。思えば、長男が生まれた瞬間にも、いた(S仙人とA大のSさんもいたと思う)。いまだにかみさんに文句をいわれる。大事なときにいつもS仙人と一緒だと。
4版が出たとき、あわてて、ミュンヘンのシュヴァイツアー書店と国際書房の両方に注文してしまった。ど忘れ禁止法違反である。もっとも、1冊は、内田文先生に売りつけた。
とにかく、シュトは想い出の書であり、されどわれらが日々の書である。名もなく貧しく美しく(?)過ごした院生時代の仲間達のためにも是が非でもいっておかねばならないことなのである。

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