自転車置き場に長く長く影が伸びて、それからゆっくり闇が落ちてきた。どこか遠いところ、遠い、遠い、遠いところへ行きたいと切望しているわたしたちを置いて日常は廻り続ける。海を見てると落ち着くし、日が暮れた後の波音を聴いていると癒される、浜辺で焚き火をして、ちらちら揺れる火をずっと見ていたい、そんな話をしていた。きたないことが多すぎて、指の先から体が腐ってくるような感覚に襲われる。まだ20年しか生きていないのにこうなのだ。汚れたと感じた分だけ、潮騒で洗い流したい。