君が目をあけると、 すべてがぼやけていて、空だけがはっきりと見えた。
魚が空中を泳いでいるのをみて、君は夢だと気づく。
いま、自分はなにを持っているのだろうと
夢の中で君は考える。
身体と服と携帯電話。あとそうだ
あてにならない感情。あてにならない感情。
君は急にさみしくなって、携帯電話を耳にあてて叫んだ。 電源が入っているかどうかも見ずに
「もしもし、もしもし、今どこにいるの? 私は、私はここにいる、ここにいるの!」
それから君は叫びながら携帯電話を目の前の魚に向かって投げた。 魚は砂になって、ぱさっと地面に落ちた。 携帯はどこかへ飛んでいった。
すべてがぼやけている空だけがはっきりしているすこし灰色の空。
君は携帯電話を探すために歩き始めた。
「あてにならない感情」
そうつぶやきながら
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