2003年06月21日(土) :
『華京騒動録』ちょい解説
解説っていうか、言い訳っていうか。
祥竜が物凄い思わせぶりですね。今回。 とりあえず、今のところは伏せてありますが、彼の身の上は絶対に秘密、というのではなくて、四話か五話くらいには明らかにされます。
さて、今回、色々と説明くさい描写が入ってますが。 私は学生時代、東洋史を専攻していたとはいえ、専門は春秋戦国時代、それも南方の楚だったわけです。 宋に関しては、『宋会要』を講義で読んで、ひーひー言ってたレベルです。 なわけで、都市風俗はともかく、社会構造なんか、自分の専門で分かるレベルになってしまってます……。 大逆不道罪、ってのが宋代にも存在していたかは知りません。だから胸を張るなというのに。 刑法に関しては、「睡虎池秦墓竹簡」の「法律答問」をかじったりして、つまりそのレベルであります。おいおい、戦国秦かよ……! いいとこ漢代までです。
ある程度、中国史に興味を持っている方なら、名前に関する「諱名」もご存知でしょうが。 ちなみに、庶民の場合、名前がつけられないときなんかはどうするかというと。 漢の高祖・劉邦の例があります。彼は「劉季」と呼ばれていました。要するに、「劉の末っ子」です。こんな風に、「排行」という、一族の同世代の中で、何番目であるか、の数字で呼ばれたりするわけです。 一方で、皇帝の名前は神聖不可侵とされる。面白いですね。 例を挙げると、『史記』。唐代の版本では、「世家」が全部「系家」に置き換えられています。これは、唐の二代目皇帝・太宗の名が李世民だからです。
そんで、最大の壁、漢字。 堂々と一話のタイトルになっている「武侠」ですが、「きょう」の字は、本来、人偏に夾が正しいです。 また、皇帝の娘婿である「附馬」というのは、「ふ」は、正しくは「馬付」これで一字です。そえうま、という意味なんですが。出ないので、代用してあります。 分かっててやってるので、勘違いじゃないです、と一応弁解。
まあ、こんな具合に宋代「風」と便利な言葉を使っております。いいのよ、歴史物を書いてるんじゃないんだから! どっかで折り合いをつけなくては!(……人、それを開き直りという)
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