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■ タクシーの運転手さんと彼の会話
彼と夜のひと時を共有し
タクシーで同じ方向に帰宅する。
彼の家が先で
私の家があと。
だから、私から先にタクシーに乗り込む。
彼は行く先を告げず
そのつど ルートを事細かくタクシードライバーに指示する。
彼も 私も 酩酊しているけれど、
良識まで 吹き飛んでいる訳ではない。
彼の
威風堂々の外見のせいだと思うのだけれど、
わたしが一人でタクシーを使う時と、
彼とともに タクシーに乗る時では
あきらかに
運転手の態度や言葉遣いが違っていることに私は気付かされる。
実は
彼が 都心の道路事情に非常に精通していること
そして 絶妙の車幅感覚を持っている事から生じる
彼の いらだちなのだけれど、
プロの技と知識を持つタクシードライバーにまじり
素人のような運転をするタクシードライバーがいる事も
また事実で、
彼が
タクシードライバーをしかりつける現場に何度か遭遇している私は
ひやひやしてしまう。
私ひとりなら
じっと我慢し
心の中で下手なドライバーに当たったことを後悔するに留まるのだけれど、
彼は はっきりそれを指摘する。
今夜は
最短距離で走行ルートを指示した彼に対し
タクシードライバーは
その細い道に自転車があると言って
曲ることを躊躇した。
彼は、
自分ならすれすれのタイミングで通過できると踏んでいるで
そのルートを指示したのだ。
話しにならないと思った彼は、
自ら下車して タクシーを誘導した。
ゆっくり曲がり角を曲り終えると
再び彼は 車内に戻る。
彼が こんな誘導をするなど
普通では あり得ない。
だから余計に
彼はタクシードライバーのプロとしてのテクニック欠如に
苛立ちを感じるのだ。
叱られるタクシードライバーの様子は
恐縮しきっている。
こんな事が 何度かあった。
私にはべた甘な彼なのに、
社会的な男としての彼の シビアさを
私は 他者に対する彼の姿勢から感じさせられる。
どのお店でも 歓迎される彼は、
まずいものはまずいとはっきり板さんに告げるし
美味しい時は 讃辞を惜しまない。
その正直にして的確なジャッジがあるから
彼は尊重され 好かれるのだ。
しかし、彼の押し出しの強さに
一度誰しか接しないタクシードライバーのような人は
畏怖の念を抱く。
彼の 圧倒的な強さを 私はそこにもみるのだ。
2009年01月16日(金)
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