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■ 年末ジャンボ宝くじ
彼と待ち合わせをして
予定より少し早く着いてしまった私は
何の考えもなく
年末ジャンボ宝くじを買いました。
連番10枚 バラ10枚です。
買って それをお財布にしまうころ
彼の車がやってきました。
年末の人が行き交う渋谷。
さっくり 乗り込みます。
「瑠璃ちゃん、何を買っていたの?」
「宝くじ 20枚。」
お財布をバッグに直していた私を見たのでしょう。
彼がそう尋ねました。
彼がつづけて言います。
「当たったら もし、三億円当たったら どうするつもり?」
明るく尋ねる彼に 私は答えて言いました。
「当たる訳ないわよ。
せいぜい当たっても 10万円とかそのくらいじゃない?
もし10万円当たったら、パッと二人で使いましょ。」
そういう私に 彼が言いました。
「んー、三億円当たったら、
僕と一緒に逃げるのくらい、言って欲しかったなぁ。」
彼は 本気とも冗談ともつかぬ感じで そう言いました。
その声色には
半ば本気がまじっているように 私には感じられました。
「あら、貴方がその気なら じゃ私もそのプランに乗るわ。」
私も 冗談なのか本気なのか 判らぬ風情で答えます。
「でも、あなたは いまの責任を全て投げ捨てて
私と海外逃亡できる?」
私は とてもそんな事は出来る訳がないと そう言いました。
「僕の責任なんか 丸投げしたところで 所詮他人だ。
瑠璃ちゃんは 大切な肉親を 捨てられないだろう。」
私は 彼が全てをなげうってもいいと本気で思っている事に
驚きました。
「あら、貴方がそこまで覚悟を決めているのなら
私だって すべてを捨てられるわ。
でも、」
私は 私たちが一緒になったとしても
私のその予測に
彼は
「あぁ、それはそうだな。
そうなったら、瑠璃ちゃんが可哀想だ。
やっぱり、逃げる訳には いかないな。」
彼が
私との生活を
本当は 強く願っているのだという事が実感され
その 彼の気持ちだけで
私は満たされる思いでした。
「じゃあさ、当たったら
都内の一等地に 一億円くらいのお部屋を買って
そこで たまに二人で過ごして
そこを 互いのこだわりのインテリアで埋めましょうよ。」
「いいねぇ、そうしよう。」
三億なんて当たる訳がないのに
真剣に シュミレーションをしてしまいました。
2008年12月13日(土)
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