ゆれるゆれる
てんのー



 旧:マレー滞在記(名前、変えました)

 日本の日本人に逆戻り、ありふれた一人になることができた。
 これを記念して、今日からはありふれた個人の日記をつづっていこうと思う。

 少なからず、読まれることを意識して『マレー日記』を書いてきた。今日からは、気にしないことにする。

 それなら公開しなきゃいいのだが、この日記が自分でも意外なほど長続きしているのは、公開することで自分にプレッシャーをうまくかけられたからだと思うので、だめ人間としてはまたしばらく「見えざる手」に頼っていきたいと思っている。


 強くて正しい人ばかりなので、正直へこむ。

 おそらくは平凡だが立派な大人が、自殺サイトに集って一緒に死んでしまう「未熟な自我」たちを怒る。「あと40年も平凡な生活を送るだけだと思うと、死にたくなった」と、20代のお子様たちは言い残して自殺してしまう。
 強くて正しい大人はきちんと叱り飛ばす、ふざけるな、才能もない人間があと40年も平凡な生活を送れる、それ以上にどんな人生を望むと言うのかね。

 そうやって、俺たちの歴史はここまで来たんだろうなと、頭では思う。きっと数千年をかけて、俺たちの先祖たちは「明日死ぬかもしれない恐怖」を取り除くべく努力してきた。数千年をかけて、「今日と同じ明日を迎える」ためにがんばってきた。

 そうやってきて、「そんなの耐えられないから死ぬ」じゃ、そりゃ報われないよな人類。人類の知識。

 「愚かなるかな、浅はかなるかな、人類よ、猿の親類よ、最後の質問、歴史とは何か。」(『きけ、わだつみのこえ』)

 俺たちは歴史の一部であって、歴史学のなかに歴史があるのではない。同じように、俺たちは今確かに、人生の一部を生きているのであって、人生論の中に人生があるのではない。区別して分類してみても、世界は把握できない。



 午前1時半。

「はいもしもし」
「はーい***(番組名)のXX(DJ)だけど、・・・」

「ちょっと、えっと、どちらの警察ですか」
「え・・・ケーサツ? ***。J−W○VEの。えーと娘さんかな、番組宛にメールもらって、」
「娘って、こんな時間に」
(「ちょっと私、私」)

「いま番組の生放送中なんですよ、それで」
「娘はこんな時間ですからもう寝てます。こんな時間に・・・」
(「寝てない。私、私」 「私じゃないでしょ。なにやってんの」)

「えーと・・・どうなのかな・・・あれ? 切れちゃった? いやあ夜中はコレがあるからなあ。しょうがねえ、次いくか。え? リアルすぎた? 悪いなあ、じゃもう一件・・・」


 なんだか笑ってしまった。DJが言うのと違う意味でのリアルさがこのラジオらしくなくて、とてもおかしかった。

 みんなまじめすぎるよ。勤勉すぎるよ。俺は頭おかしいから、堂々と言うけど、お前ら頭おかしいよ。

2003年04月23日(水)
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