|
|
■■■
■■
■ 死んだ犬の骨組み
一ヶ月前、晩飯を食いに行く路上で、白い犬が車にはねられて死んでいるのを見つけた。 次の日、犬の死体は歩道に寄せられていた。
週に一度くらいしかそこを通らないので、そのうち誰かが片付けるのだろうと気にもしなかった。
三週間前、そのままに打ち捨てられていた犬の死体は、毛が茶色く変色していた。縮んでいたが、形は崩れもしておらず、なんとなく不思議な感じがした。
二週間前、何となく目をそらし気味にそこを通ったとき、犬の死体はなぜか下半身だけになっていた。
先週の日曜日、誰も片付けるわけがないと悟ったから、妙に期待するような気持ちで、そこを通った。犬の死体は、そう言われなければ分からないほどになっていた。下半身の毛皮だけが、ぼろきれのように歩道にへばりついていた。歩道はそのあたりだけ直径五十センチほど黒ずんでいた。肉の部分はまるで雨に溶けて排水溝にでも流れ込んだようだった。
今日、またそこを通った。犬のぼろきれは、薄暗い街灯の灯りを照り返して、白く浮き上がって見えた。風の具合だと思うが、毛皮の上に、棒切れがちょこんと乗っていた。
2003年03月31日(月)
|
|
|