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■ 【エッセイ】 バアバが神様に抱かれた
バアバが死んだ・・・・・・。 とうとうバアバが死んじゃったよ・・・・・・。 クリスマスイブの今日、それを聞いた。
深夜、仕事から帰宅したら、三姉妹の中でたった一人だけ健在でいる叔母の息子である従兄弟の【A】から留守電が入っていた。 「今日、玉子さんが亡くなりました。無理をしなくてもいいけど、一応お知らせしておきます」と・・・・・・。
店を終えた後、ラーメン屋でママと貢君と3人で雑談をしてたので、帰宅したのは3時半。 それでも慌ててバアバの家に電話をしてみると、バアバの入院を知らせてくれた従姉妹の【N】が出た。 もう親類達は一度引き上げ、【G】一人きりだし、明日は【G】が仕事なので、泊り込むらしい。 それから従姉妹と一時間ほど話した。
話を聞くと、バアバの死に際は、殆ど自殺に近い。 多分覚悟をし、死ぬ事を選んだのだろう・・・・・・。 食事を拒み続け、管を外せと叫び、あの聖母のようだったバアバが、初めてキツく我侭を言ったらしい。
バアバは人に迷惑を掛ける事を一番嫌う人だった。もしも持ち直し、自分の病気が回復に向かったとしても、もう他人の手を煩わせなければ生きていけないと察したのだろう・・・・・・。 ひ孫の身を案じ、人の身を案じ、最期まで尊厳を保ったのだ。 人に迷惑を掛けるくらいなら・・・と言う、バアバらしく潔い、覚悟を決めた死のような気がしてならないのだ・・・・・・。 会う人会う人に「もう終わりですから」「今までお世話になりました」と、そんな事ばかり言ってたという。 あれほど人のためだけに生きてきたバアバが、最期に人の手を借りたく無いと、自ら死を選んだのだ・・・・・・。 生きようとする思いを捨てたのだ。
バアバ・・・、貴女は最期の最期まで、誰にも真似の出来ない、完璧な聖女でした。
私は不思議と、バアバの死自体は哀しくない。 むしろ、身体の苦しみのないうちに神様の温かい懐に抱かれ、安息の国に旅立てた事が嬉しいくらいに思う。 これでバアバが心も身体も楽になれたのだと思うと、空を見上げ「やったねバアバ♪」と、Vサインを送りたいくらいの気分だ。
ただ、バアバが最期まで私と従兄弟の【N2】(電話中の従姉妹の兄)の事を心配していたと聞いた時、嬉しさと情けなさで泣けて泣けて仕方がなかった・・・・・・。 「孫の中で、あの二人だけは生き方が下手だから、可哀想でしょうがない」と、ずっと気にかけてくれていたと言う・・・・・・。 それを聞いた途端、せきを切ったように私は泣きじゃくった・・・・・・。
私にバアバの死を知らせる事を皆で話し合ったと言う。 「どうせあいつの事だから、借金してまで来るだろうし、無理をさせてもいけないから知らせずに置こうか」と言う話をしたと言う。バアバもアンタが苦しい事は解っているのだから無理しなくても大丈夫だと、その従姉妹も言ってくれた。
でも、私は悲しいよ・・・・・・。 人との永遠の別れって、そんな物じゃないような気がする。 私の心の中に居るその人々との想い出の場面場面に、私だけの心と気持ちでちゃんとお別れを言いたい・・・・・・。 たったそれだけだ・・・。 借金して行こうが、なんだろうが、最期にはちゃんと人に迷惑を掛けず清算してから天に召されるよ。
いつもいつも、確かに苦しかった。 伯母の葬儀の時も、従姉妹の葬儀の時も、伯父の葬儀の時も、確かに苦しかった。 その為にクレジット会社からお金を借りた事も事実有る。 でも、私は私なりの個々への心からのお別れを、ちゃんとしたかったのだ。 借金も必ず最後には借りた物は自力で返し切ってから死ぬと言う、プライドだけは持っている。生きている内に返せぬ物なら、全て纏めても保険金で十分返せる範囲のお金だもの。 たっぷりお釣りが来るってもんだ。それで良いじゃないか・・・・・・。 お釣りが残ったら息子とフゥーリィーでささやかに分ければ良い。 誰かに残すためではなく、自分の後始末をキチンと着けるために、どんなに苦しくっても保険だけは解約しないで来たのだから・・・・・・。 私だって最期くらいは、バアバの様に尊厳を持って死ぬさ。
バアバと最後にあれほどの接触(電話だけど)を持てたと言う事は、本当にバアバだけは私の真意を見抜き、私を見捨てなかった証拠だ。 バアバだけは、私の心に宿る、一種の純真さを理解してくれていたのかも知れない。 皆にバカだチョンだとけちょんけちょんに言われていた頃も、バアバは庇ってくれたもの・・・・・・。 きっと、そんなバアバが私を呼び寄せてくれ、一時でもバアバとの濃い接触を持つ事が出来たのだ。
バアバ・・・、出来れば息の有る内に、貴女と一目でも会いたかった・・・・・・。
「松本にも、私の可愛い可愛い孫が一人居るのだと、いつだって思ってるのよ」
バアバのこの言葉を一生忘れない。
私も真剣に悩んだけど、やはり、私は貴女にお別れをしに行くね? 許してくれるよね? 無理してバカネェ・・・って怒らないでよ?
だって貴女は、私にとっての掛け替えのないたった一人の触れ合った事の有る祖母なのすもの・・・・・・。
後悔だけはしたくないのです。
2004年12月24日(金)
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