 |
 |
■■■
■■
■ 【お仕事日記】 セレブなお客様
昨日は暇だった。 9時半ごろまで誰も居なく、店のカウンターに座りカラオケのモニターをビデオに切り替え、TVを見ていた。 チャンネルを切り替えていたら波田陽区が出ていたので思わず見入る。 【実はフゥーリィーもアタシも彼の大フアンなのだ】
一人でゲラゲラ笑っていると、一組の熟年カップルが入ってきた。 どうやら浅間温泉の老舗の高級旅館から、タクシーに乗り、運転手の紹介で飲みに来たらしい。 1目でセレブと解るカップルで、ちょうど私の父母くらいの年代だ。 二人の会話の感じから、すぐに夫婦ではないと解る。
「前にも此処に女房と来たが、貴女みたいな人は居なかったなぁ・・・。あっ、コレは女房ではないやけんどな・・・」と、笑いながら言う。 『ええ、大体の会話から、それはお察ししてました』と私も笑いながら受けると、「貴女は中々話の解る利口なお人だ」と関心気味に笑っていた。
男性は穏やかな愉快な人で、女性も開けっぴろげで感じの良いご婦人。 水割を注文される際、「良かったらあなたも一杯如何ですか?」とにこやかに言ってくださった。 アタシはこの手のお客様は大好きなので、すぐに仲良しになった。 いつに無く店内には高度で洒落た会話が飛び交い、お茶目で悪戯っぽいその男性は、何かの大先生らしい。
月に1〜2度は必ず松本に来ているらしく、とても気に入ってくださったみたいで次回も必ず飲みに来てくれると名刺まで渡してくれた。
3人で仲良く歌を歌ったり飲みながら遊んでいたら、もう一人、味の有る叔父さんが入ってきた。 アタシがちょうど歌っていた最中で、少しの間ほったらかしになったが、歌い終わりお絞りを片手に駆けつけると「何であなたのような人がこの店に居るの?」などと素っ頓狂な声を上げて、驚いたような顔をしていた。 「・・・?」とにこやかに伺うと、どうやら服のセンスやら、歌やら、接客態度やらが一瞬で彼のお眼鏡に叶ったらしく、めちゃくちゃにアタシを褒め称えてくれ始めた。
聞くところによると彼も老舗の本屋さんで、物書きへの指導などをしている人と言うではないか・・・・・・。
しばし4人でカウンター越しに会話が弾み、カップルが帰った後は、その風変わりなおじさんとビールを飲みながら色々な会話をした。 彼は、小沢正一と野坂昭之を足して2で割ったみたいな感じの人で、気難しそうだが、とても味わい深い男性で、物を書く上での為になる事を沢山教えてくれた。 やはり、とても楽しんでくれ、これからはもっとちょくちょく通ってくれるそうだ。
書いたものを見てあげると言うので、たまたま持ち合わせていた原稿を2〜3渡しておいた。
この所、店の内部のやりにくさとは裏腹に、そんなステキな人々との出会いのチャンスも沢山やってくるような気がしている。 解ってくれる人は解ってくれる。 誠意のこもった明るい接客をしてさえいれば、良い人との出会いにも恵まれる。 満更、嫌な店でもないような気がしてきた。
自分よりうんとレベルの高い人たちと知り合う事で、自分のレベルも上がっていくのかもしれない・・・・・・。 そんな気がした一日だった。
2004年11月12日(金)
|
|
 |