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■ 【エッセイ】 NHKドラマ 〜あるピアニストの軌跡〜 を観て・・・
久々に心から泣ける良いドラマを見た・・・・・・。 そんな感動で、暫くは全く涙が止まらなかった。
【フジ子 ヘミング】のピアノは、何度かTVで聴いた事がある。 コンサートの様子、普段の彼女の行動などなど・・・・・・。 【凄いっ!! 良いなぁ・・・・・・、アルバムが欲しいなぁ・・・・・・】 兼ねがね思っていた。 彼女の音楽の事が頭の片隅には常に有った・・・・・・。 そんな昨日、普段あまり見ないのだが、何気なく付けたHNKTVで【どうも再放送だったようだ】正に今から彼女のドラマが始まろうとしていたのだ・・・・・・。 そんな偶然さえ、神様の粋な計らいなのではないのだろうか? と思う。
奇跡のピアニスト、フジ子ヘミングの幼い頃から現在に至るまでの軌跡を、彼女の名曲を織り交ぜ繰り広げられたドキュメントの2時間ドラマなのだが・・・・・・。 多分、多くの皆様が見た事だろう・・・・・・。
常に厳しく、辛辣で、子供に対し決して心を開かず笑顔も見せぬピアニストの母。(十朱幸代) その二人を温かく見守る伯母。(野際陽子) 今の時代ならば間違いなく【幼児虐待】と言われるであろうほどの執拗なまでの厳しいピアノ教育の中で育っていくフジ子。(菅野美穂) コンテストを独り占めし、天才! だの秀才! だのと言われながら、尚留まる所の知らぬ母の厳しさに怯えつつもピアノを学び続けるフジ子。 やがて娘時代に入り、奇跡的な天才と騒がれながらも日本ではピアニストとしての日の目を観る事は全く無く、母の期待と挫折に思い悩む日々。 そして28歳になった彼女は一大決心をし、母の反対を押し切りドイツへ留学する。(その時初めて彼女は自分に国籍がない事を知るが、赤十字難民として留学する事になる) 嫉妬や様々な嫌がらせの中、ベルリン音大を優秀な成績で卒業。 その後、ヨーロッパに長く滞在し、実績は積む物の、一向に目が出せず、貧困、飢え、孤独に打ちひしがられる日々。
そんな虫の息の中、今世紀最大の作曲家・指揮者の一人と言われる、ブルーノ・マデルナに捨て身で写真入の手紙を出し、ウイーンでその才能を認められ、やっと一流のピアニストとしての日の目を観る事となった彼女だが、リサイタル直前、日々の飢えからか風邪をこじらせ、一時的に聴力を全く失ってしまう。 そのリサイタルは悲惨な物となる。 失意の中、尚ピアノを捨てきれず、ピアノ教師としてストックホルムで暮らす。 やがて滞在先で母の訃報を知り、後に帰国する。 その後、日本で活動を続けて行く中、今のフジ子ヘミングに至る。
ざっと粗筋はこんな所なのだが、下手くそでごめんなさい。 粗筋を書くのはとても苦手なの。(笑) 私が書きたかったのは筋でもなんでもなく、あのドラマの構成と役者たちの演技力の素晴らしさである。
私は何箇所もこのドラマで泣いた。 演技に泣き、曲に泣き、台詞に泣き、本当に本当に良く泣いた・・・・・・。 それと同時に、菅野美穂は益々演技が上手になったなぁ・・・と、つくづく感心した。 役者の演技も役者選びも、台詞の一つ一つも、全てが良質で高質のドラマだった。
アソコまで厳しく冷酷だったはずの母親が、渡航するフジ子を見送る時に、初めて見せた涙と叫び。そのシーンを演ずる十朱幸代がとても上手く、良かった。
行きつけのレストランにお金を借りに行くシーン。 「いつもので良い?」と聞く店主に「お金がないの・・・貸して欲しい・・・」と頼むフジ子。 「皆食う為に大変なんだ! 食えないのならさっさとこの国を出て行け!」 と、突き放すシーン。 しかし、そこいらの3流ドラマのように、ただ単に極端に手の平を返すと言うだけの意地悪的な役柄にさせず、その冷たい台詞の中にも、個々に生きている現実の厳しさに重みが有るのだと言う事を感じさせている。
そして飢えと絶望と失意の中、道端で野垂れ死にしそうな時、気が付くとそこにオレンジが転がって居、「神の恵みだ! 神は生きろと言っている・・・」と泣きながら美味しそうに齧るシーン。 そこの菅野美穂の演技がとても良く、大いに泣けた。
捨て身で送った写真と手紙。 壮大なリサイタル会場でボロボロの洋服を着、フラフラになった彼女をブルーノ・マデルナが受け入れる(ピアノを聴いてみよう・・・と)シーンも泣くに泣けた。受け入れられた時のフジ子の気持ちが本当に痛いほど良く出ていた。
伯母(野際陽子)とフジ子がひまわり畑でゴッホを例えて会話するシーンが有ったが、そこも泣けた。 「ゴッホが生きている内に売れた絵はたった一枚・・・・・・。でも、何故ゴッホが絵を描きつづけたかわかる? 描く事が大好きだったからよ・・・・・・」 この台詞は良かった・・・・・・。 私も好きだから、書き続ける! うん!! と強く頷きながら見たものだ。ww
失意のどん底で、耳の治療と共に掃除婦として働いている病院で、やはり失明し、頑なに心を閉ざしてしまっ老患者が、フジ子の爪弾くピアノに惹かれ、自ら車椅子を押して泣きながらピアノに近付いて来る。 その老人役の外国人役者の演技が、ひときわ素晴らしかった。 弾く手を止め、その患者の涙を拭いてやるフジ子。 患者がフジ子の手を取り「さぁ・・・、はやく・・・もっとピアノを弾き続けて・・・」と涙に濡れた見えぬ目だけで言うのだ・・・・・・。(言葉で言うのではない目だけで訴えるのだ) それだけの仕草が、とても絶品で、そこでオイオイ泣けたのだ。 (たったアレだけのシーンが、あれほど私を泣かせたのだから、もの凄い名演技なのだ・・・・・・ww) そのシーンでフジ子は世に出る為のピアノでは無く、たった一人に受け入れられるピアノで良い・・・・・・。人の心に響くピアノを弾こうと悟る。
私もたった一人でも良い・・・・・。私の文章に心を打ってくれる人のためだけに書き続けたい。
そしてラストに菅野美穂から本物のフジ子ヘミングに画面が被った時には、もう、ヒィ〜ヒィ〜! しゃくりあげて泣いていた。
何時までも余韻が残り、何時までも泣き止めないで居た。 こんなに良いドラマを見逃さなかった事に深く深く感謝したい気持ちだ。 貧乏でもなんでも、こんなにステキなドラマに感動出来ると言う事自体、喜ばしい事で・・・・・・、生きていて本当に良かった・・・と、心から思えたドラマだった。 さすがHNK♪
私も諦めないで書き続けて居たいと、改めて深く噛締められた。 文章を書く事が好きだから書く。ただひたすらに書いていれば良い。 華が開こうが開くまいが、書く事を呼吸にして生きたい・・・・・。 そして私色の文章、私にしか書けない文章確立させて行きたい。
今度お給料を貰ったら、是非彼女のCDを買おう・・・・・・。 初めてのCD付きの愛車(ミラ)で、景色の良い場所でゆっくりと聴き入りたい。
本当に心から感動させてもらえた。 ありがとう・・・・・・。
挿入曲
♪「ハンガリアン・ラプソディー」より・・・リスト
♪「ノクターン 第2番」より・・・ショパン
♪「聴かせてよ 愛の言葉を」より・・・ルノワール
♪「月光ソナタ 第1楽章」より・・・ベートーヴェン
♪「ため息」より・・・リスト
♪「ラ・カンパネラ」より・・・リスト
奏楽堂ライヴより(1999年4月30日)
♪「愛の夢 第3番」・・・リスト
♪「魔王」・・・シューベルト=リスト
♪「小鳥に語るアシジの聖フランシス」・・・リスト
♪練習曲Op.25-9「蝶々」・・・ショパン
♪練習曲Op.10-5「黒鍵」・・・ショパン
♪練習曲Op.10-3「別れの曲」・・・ショパン
♪練習曲Op.10-12「革命」・・・ショパン
♪「ハンガリー狂詩曲 第2番」・・・リスト
神様・・・・・・ あの瞬間にTVを点けさせてくれたのは、きっとあなたなのですね・・・
↑ みそひともじの代わりです。
2004年02月16日(月)
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