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■ 【エッセイ】 フゥーリィー (後編)
元々飲み仲間の頃から、私はフゥーリィーとはとても仲よしだったし、会話をしていてもウマが合い、全然疲れなかった。 (後に気付いたのだが、要は、気取る要素もない、根っからのオバカだったとも言えるのだが・・・ww) 気は優しくて力持ち。偶に笑えぬような下手なダジャレは連発するけど、普段は純朴で手先が器用。一種独特の雰囲気もあり、歌はまぁまぁ、スポーツ万能、喧嘩も強い・・・などの魅力要素も有り、若い頃は、あれで結構モテたらしい。
友達時代の(あくまでもその頃の)私のフゥーリィーに対する印象は、根本は凄く優しくて、シャイで、単純で、気取り気が無くて、面白くて、お人好しで、ちょっとキカン坊で、エエカッコシイ・・・・・・。と言った感じかな・・・。 フゥーリィーも私と一緒で、宵越しのゼニは持たないタイプ。(笑) 豚も煽てりゃ木に登るで、直ぐにその気になって、スッカラカンになるまで奢りまくっちゃうようなお人好しの淋しがり家。
まさか、後に付き合う事になるなどとは夢にも思わなかったので、『男なら、ぱぁ〜っとお金は使うもんよ。ケチんぼは大嫌いなの』等と言い、良く奢らせていた。(笑) それが大きな失言だった事は、今となっては言うまでも無い・・・・・・。 二人とも随分お金には困っているくせに、イザ持つと執着心が無さ過ぎるのだ。 パチンコ等をやると、お互い歯止めが利かなくなる。(苦笑)
フゥーリィーは3歳年下だが、中々男気が有るところも有る。 余分な事は一切言わない。言い訳をしない。悪口を言わないなどがそれである。
その内、段々と息子をダシに(笑)一緒に遊びに行くようになり、やがて私達は自然と結ばれたのだ。 後に二人で(H)が入院する鹿教湯のリハビリ病院に報告がてら見舞いに行った事があるが、(H)はフゥーリィーと付き合っていたことすら、いえ、フゥーリィーや私の事すら、覚えていないようだった・・・・・・。
しかし、イザ付き合ってみると、飛んでも8分、歩いて13分で、全くのガキ大将も良い所・・・・・・。息子よりもナンボもダダッ子だし、人間としての気品がなさ過ぎる・・・・・・。 今まで浮気心は全くもって無いのだが、ヤキモチは酷いは、変なプライドは高いわ、仕事は続かないわ、意地っ張りだわ、大雑把だわ、頑固やらで、どれほど苦労した事か・・・・・・。 息子は高校時代、フゥーリィーとの略奪戦に白旗を揚げ、とうとう私達のバカ夫婦さ加減に呆れ果て、私をほったらかして、さっさと隣町のガールフレンドの下に行ってしまったのだ。
そんなフゥーリィーだから、何十回、何百回と喧嘩をし、幾度別れ話をしたか解らない・・・・・・。 まるで鳳啓介と京唄子(古すぎる!!)のような夫婦である。
私が唯一、そんなフゥーリィーの所に尚も踏み止まっていた理由は一体何なんだろう・・・・・・。と、未だに考える事が有る。
きっと、フゥーリィ−の根本にある優しさと、フゥーリィーのダメさ加減が、何処か劣等性だった私を癒すのかも知れない・・・・・・。 互いに子供に返れるのだ。 何しろ二人で居るとお互いに嬉しくて、そして愉快なのだ。
緊張しなくても、自分を飾らなくても、無理をしなくても良い、真っ裸の私を受け入れてくれる日向のような人間関係・・・・・・。 決して変わる事の無い何処かで安心し切れる愛情。 私達は、お互いの傷を舐め合っているだけの野良犬夫婦に過ぎないのかもしれない・・・・・・。 しかし、お互いにどうしようもない人間なのだけれど愛しくて仕方が無いのだ。 やっと心の故郷に戻った感じ・・・・・・。 そう・・・・・・。きっと私はフゥーリィーに、亡き父の面影を見ているのだ。 もしかしたら、前世で、私達は本当の親子だったのかも知れない。
フゥーリィーは今になって、やっと仕事にも落ち着き、人が変わったように真面目に働いている。 今回の仕事がとても適職だったのか、本人は今の仕事が大好きなようで、会社仲間からも人気者らしく、天下を取っているみたいだ。(笑)
今までの13年、片方が良くなると、片方がまるでダメになってしまうと言う、私達のサイクルだったが(笑)私も早く売れるようになる突破口を見つけ、今の仕事を成功させたい。 そろそろ二人で成功させてくれ、生活に少しの余裕を持たせてくれても良い頃ではないでしょか? えっ? 神様よ・・・・・・。(苦笑)
息子が生まれると同時に離婚した元夫は、どちらかと言うと、物凄く繊細な人間だった。 顔もハーフのようでハンサムだったし、体の線も細かったし、神経も細やかだった。 ジョークも言うし、ピアノやギターも上手く、感性豊かで詩等も書き、とても社交的で優しい人なのだが、自己愛がとても強く、感情の起伏が激しい【モロ息子が受け継いでいるww】人だった。 何処か機嫌が損ねられると、周りにピリピリした緊張感を与えるような人間。 その点フゥーリィーは、少しは緊張させてみろよ!! と言うくらい、不真面目かつ不謹慎、極まりない。 スピッツと秋田県のような違いだ。(変な例え・・・・・・ww)
ただ、どちらにも共通しているのは、根本の優しさと、何処か破滅型人間だと言う事である。 私の男選びは、そこが基本みたいだ。(だから何時までも貧乏で、苦労が絶えないのよ・・・・・・)
元夫とは、今も電話で息子の話しなどをしている。 今では良き友人だ。
そんな訳で、フゥーリィーと私は、例え周りに何と言われようとも、割れ鍋に閉じ蓋夫婦・似たもの夫婦・月夜にスッポンポン夫婦・平成の大馬鹿夫婦まっしぐらなのである。
2003年08月19日(火)
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