マキュキュのからくり日記
マキュキュ


 【ミニエッセイ】 母のブロマイド


今朝、久々に母の夢を見た。

まるで、集金人か何かのように、突然母が家にやって来たのだ。
ピンポ〜ン♪ とチャイムを鳴らして・・・・・・。

母の姿は、若く美かった。
私が幼かった頃の母だった。

私は嬉しさと懐かしさで胸を詰まらせて「久しぶり・・・・・・。一体どうしたの? どういう風の吹き回し?」
そう聞いた。

母は普段通りの口調で「チョット探し物・・・」
そう言って、部屋中の引出しを開けている。

「何を探しに来たのよ?」
そう聞く私に苦笑し

「ほら、ほら、私のブロマイド用の写真が有ったでしょう? アレ知らない?」

私は微笑んで、「ああ・・・アレならアソコのアルバムの中よ?」
そう答えると、母は嬉しそうに「映画のオーデションが有るのよ・・・・・・。それに必要なの」と、子供みたいな笑顔を向けた。



母は写真をアルバムから剥がすと、大切そうに封筒に入れ帰って行ったのだ。

「何時も、私の事書いてくれてありがとう・・・。でも、悪口を書いたら承知しないわよ」
そう言い残して・・・・・・。

たったそれだけの夢である。


私は自分のしゃくりあげる声で目覚めた。
枕がびっしょりと濡れていた。


良い夢だった・・・・・・。 愛しい夢だった・・・・・・。


母は黄泉の國で、女優時代に戻っているのだろうか・・・・・・。


その母が探していた写真を、今日のBBSにUPする事にしよう。
きっと母は、それを飾って欲しかったに違いない。


母が大好きだった桜の季節が、今年もまた、松本にもやって来た。







2003年04月17日(木)

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