マキュキュのからくり日記
マキュキュ


 (日記)バカを投げ合うバカ夫婦


昨日の日曜日は、久々の好天に恵まれた。
怠慢と悪天候から、2週ほどやり損ねていた大掛かりな掃除と洗濯を、「今日こそはやっつけちまおう!」と、目覚めしな、主人と固く誓い合ったのだ。
(ウチの場合、共稼ぎなので、家事も大まかに分担している)
先ず、目覚めのコーヒーを飲み終わり、各自の分担に付く。
私の係りは洗濯と拭き掃除。
主人の分担は掃除の為の物の移動と、掃除機係である。
途中、だらだらとTVを見ながらサボっている主人に激を飛ばし、何とか昼過ぎには掃除も洗濯物も終わり、キレイになった部屋で一服をしていると・・・。
朝から外に締め出していた愛猫のミュウーの鈴の音。
しかし、外から勢い良く飛び込んできた生き物は、ミュウーとはまるで別物の生き物だった。

『豹!? 虎!?』
『な、ナニュニュ?!』

なんと、確かに首輪も背格好も、ミュウーに違いないのだが、何故か全身金色なのだ。
(きっと貧乏夫婦を哀れんで、神様が金の猫に変えてくれたんだ・・・・・・)
(鶴の恩返しならぬ、ミュウーの恩返しで、黄金の猫に変身したんだ・・・・・・)
老眼間近な私達は、一瞬そんな身勝手な空想に明け暮れた。
しかし、よ〜く目を凝らしてみると、なんと、ミュウーの全身が隙間無く、バカで覆われているのである。
(正式名は知らないが、ゴマみたいな植物の実(?)だ。私達は子供の頃から「バカ」と呼んでいた。それは東京も木曽も、何故か一緒らしい・・・)
しかも、顔から尻尾までビッシリである。

『ぎょえ〜〜〜っ!!」
『・・・・・・・・!!』

主人と私はあっけに取られ、愕然とした・・・・・・。

『せ・・・、折角此処まで苦労して、き、キレイに掃除したのにぃ・・・・・・』
『うッ、嘘だろう・・・・・・!!』

ミュウーは私達に異様な殺気を感じたのか、部屋中にバカを撒き散らしながら逃げ回る。

『ぎよえ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!』
『・・・・・・・・!!』

結局は、又、掃除のし直しで、終わったのは三時を廻っていた。

『もうヤダ・・・!! 折角新蕎麦が食べられると思ったのにぃ・・・』
『もう、行く元気、完全に失せた・・・・・・!』
この日、本来ならば、午前中に掃除を終えて、その御褒美に、山形村の方へドライブがてら、紅葉見物と、美味しい新蕎麦でも食べに行く予定で居たのだ。
私達はブーブー文句をたれながら「新蕎麦」ならぬ「焼きそば」のブランチを取った。

焼きそばを頬張りながら、ふと子供時代を思い出し、私は主人に聞いてみた。
「ねぇ?ねぇ? 「バカ」って言えばサァ・・・、あの「バカ」じゃなくて、もっと大きくてサァ、コンペイトウのような形をした「バカ」って知ってる?」
「おう!おう! 昔良くセーターなんかに投げて遊んだ、虫みたいな格好のやつだろ?」
「うんうん! 昔は東京の畑にも有ったんだよ? あれってこの辺にもあるのかなぁ・・・?」
「モチロン有るだろ? この季節になると決まって投げ合って遊んだよなぁ〜」

「妙に懐かしいねぇ〜」
「妙に懐かしいなぁ〜」

「アレ欲しい〜っ!、ねっ・ねっ・取りに行かない?」
「じゃぁ、散歩に行くか〜!」
「うん!行こう行こう!」
私達は、早速、家の直ぐ脇にある裏山に散歩に出たのだ。

初めて探検する子供のように、ワクワクしながら裏山に登って見た。
この時期の山には、色んな実やら不思議なきのこが生えていて、中々散歩も面白い。
ブラブラ歩く事数十分。
あるわあるわ、一杯バカが実っている。(笑)
私達は、二十粒ほどのバカを取ると、ポケットに入れ、家に持ち帰った。

家に帰ると、私達はわざわざセーターに着替え、「えいっ!」と主人に投げてみた。
主人も「えいっ!」と投げ返す。
私達はキャーキャー言いながら、狭い家の中でバカの投げっコをして遊んだ。
そんな私達を、黒猫に戻ったミュウーが、『やってられない・・・』という顔付きで眺めている。

「あぁ〜〜、明日は一人で、又、掃除をせねばなるまい・・・・・・(-。-) ボソッ」

そう呟きながらも、懐かしく、又、虚しく暮れ行く日曜日なのだった・・・・・・。

追伸・・・・・・。
何方か、小さい「バカ」と、大きい「バカ」の正式名を教えてください。m(._.)m ペコッ








2002年11月11日(月)

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