マキュキュのからくり日記
マキュキュ


 【愛猫エッセイ】猫(ネコ)ならぬ・・・婿(虫こ)


 
 この季節になると、私は、一つの大きな悩みを抱える。

 我が家の一人娘である、黒猫の『ミュウー』が、外デビューを果たした頃から、毛虫だの、ゲジゲジだのを、家に引きずり込んで来ては、自慢げに私たち夫婦の前に、披露するのだ。

 『お前は、虫しか捕まえられないのか・・・、ねずみを捕まえてくるからこそ、猫だぞ? これじゃぁ、ムコ(虫こ)ジャンかぁ・・・・・・』等、主人はゲラゲラ笑っているが、笑い事じゃぁない!!
 
 私はその度、この世の物とも思えぬ悲鳴を揚げて、逃げ回る。

 主人が居てくれる時は、主人に始末してもらえるからまだ良い。主人がいなきゃ、私が家から出て行く羽目になる。
 主人が帰ってくる時間帯まで、友人宅か、パチンコ屋に逃避するしかないのだ。
あいにく友人宅が留守の時など、イヤでイヤで仕方ないのに (^^; パチンコやに非難する。

「あぁ・・・・・・、今まで、どれほど損した事か・・・・・・」

 モニョモニョ系の虫が、大の苦手な私は、出て行く他に、術が無い。


 所がだ・・・・・・。

 主人に以前、『虫こ』等と馬鹿にされたのが、『ミュウー』は余程悔しかったのか、最近では、虫には一切見向きもせず、段々と、スズメやら、ツバメやらの、大物を捕まえてくるようになったではないか・・・・・・。
 
こうなりゃ、私はもう、完全に家には居られない・・・・・・。
『ぎゃッ!』などと、叫ぶ間も無く、財布とタバコとキーを持ち、車の中に篭城するか、例の外出だ。

かといって、ミュウーを外に出さなければ、ミュウーはストレスだらけになり、犬のトウボエのような声を張り上げ、外に向かって鳴きまくるか、障子をビリビリに破き回る。

 今も、ミュウーは外に出ているが、私の家のすぐ前が、見渡す限りの田んぼの為、このコーポの庭木には、数え切れないほどのスズメ達が、戯れている。
時たま、ミュウーの「ケケケケケッ・・・・・・」という、獲物を狙っている時特有の、奇妙な鳴き声が聞こえて来て、私は思わず身震いをする。

(あぁ・・・・・・、頼むから、何も捕まえてこないで・・・・・・。)
私はそう、神に祈るしかない。

 『虫こ』から、『鳥こ』になり、やがて本当の『鼠こ』になる日も、近いのではないかと、私は毎日、戦々恐々としている。

 


2002年06月25日(火)

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