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■ 【シヨートエッセイ】泣きたい香り
今日は、昔のエッセイを引っ張り出して見ました〜〜〜★。、::。.::・'゜☆。.::・'゜★。、::。.::・'゜ 今日、友達と、仕事の合間にお茶を飲んでいて、ナニゲに「香り」についての話になッたのです。 そこで・・・、私が文章を書き始めた、初期の頃のエッセイを思い出し、ここに掲載してみたいと思います。 当事の私の苦労なりを、皆様にお察しいただけたら幸いです。 マキュキュ
『泣きたい香り』
『香りの想い出』で、真っ先に思い浮かぶのが、あの、大輪の『カサブランカ』という花である。 上品でエレガントなその花に、私はずっと以前から強く憧れていた。 その理由は、単純なのだが、プレゼントとか、求愛の印とか、一度として、誰からも頂いた事が無かったせいなのかも知れない。 なのに・・・・・・あぁ・・・それなのに・・・・・・。
私は昨年、子宮癌を拗らせて(?)半年ほど入院生活を送っていた。手術が終わり、いよいよ恐怖だった抗癌剤治療が始まって、二・三日が過ぎた頃、日頃大変お世話になっている知人の女性が、1万円は下らないであろうと思われる、我が憧れの『カサブランカ』の花束を持って、わざわざ見舞いに来てくれたのだ。 やっと憧れの花束を手にしたというのに、それは私に、かつて無い程の地獄の苦しみをもたらせたのだ。
抗癌剤治療の最中は、ほんの僅かな匂いでも、急激な吐き気を催すものである。 高価な花束を下さった御婦人には、大変に申し訳ないが、あの、何とも言えない甘ッタル〜イようなドギツイ匂いは、容赦無く私の胃袋をモミクチャにし、幸い個室だった為、他の癌患者達には、そんな思いをさせずには済んだものの、その婦人が帰るまでの一時間余りの間、(まさか、その人の前で吐きまくる訳にも行かず)幾度と無く、こみ上げてくる物と、私は必死で戦った。 涙目の私に、(よっぽど感激しているのねぇ・・・)と、思い込んだ婦人は、しきりに、「ねぇ、安いんだから、そんなに気になさらないでよ、オッホッホッホッ・・・」と、四回繰り返していた・・・・・・。
そして、さらに、こうも付け加えた。
「それに・・・この花って、結構、日持ちするのよ」
3kは有ると思われる、その花束を入れるような大きな花瓶も無く、ベッドの足元に置かれた巨大な花束を、私は只々、途方に暮れながら半分恨めし気に見詰めていた。
(まっ、イイヤ・・・、しょうがないから今夜、ダンナにでも、家に持ち帰って貰おうっと・・・・・・) そう思った矢先、婦人は満足げに満面の笑顔で帰って行ったのだ。 しかも・・・・・・極め付けに、 「あさって辺り又顔出すわ」と、一言、いい残して・・・・・・。 by マキュキュ
2002年04月04日(木)
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