睦月の戯言御伽草子〜雪の一片〜 Copyright (C) 2002-2015 Milk Mutuki. All rights reserved
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「用意ができたようですね」 主人が部屋へやってきた。 「ええ、私がいればすぐですこれくらい」六地蔵の末っ子が答えて荷物を抱えて部屋を出て行った。 「めんどくさいんだけど」 「大丈夫ですきっと楽しいたびになるでしょう。彼らは今回修行をかねてのたびなので大変でしょうけど、貴方がお供のつもりで気楽に行って来てください。」 「うん。」気乗りしない返事を残し促されて旅籠の帳場へと移動する。 いつも座っている番頭も途中の板場で働いている板長の大きな背中も花のキンキン声も今日は聞こえないし見かけない。今日というよりはここ数日ずっとなのだけれど・・・・ なんだか寂しい気分になったこのままみんなに会えないような・・・
「大丈夫ですよ。みなの里はさほど遠くはないし、みなが休暇を終えてかえってくるのをここで待っているよりはいいと思いますよ。」 なんだか僕の気持ちを見透かされたようで少し気恥ずかしかった・・
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