睦月の戯言御伽草子〜雪の一片〜 Copyright (C) 2002-2015 Milk Mutuki. All rights reserved
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いつものような騒がしさで目がさめた。 なんだみんな戻ってるじゃないか、面倒な旅なんかしなくていいんだと呟きながら少しがっかりもしていた。 「ゆきさんゆきさん!!」 ほかに客が残ってたんだな、それは夜中にきたかな?なんて思っていたら小さな子が部屋に駆け込んできた。 「起きていらっしゃいますか?」 やけに丁寧な言葉使いの子供だなと思いながらぶっきらぼうに答えた 「みてのとおりだよ」 「旅支度なさってないんですね、ゆきさん、やっぱりご主人のおっしゃったとおりだ。お手伝いしますね。なにから入れましょう」 早口でまくし立てながら部屋の中をごそごそしだした。 「で、ゆきさんってだれ?」 「あなたのことですよ〜。僕たち兄弟の間ではあなたはゆきさんでとおってるんです。雪といっしょに降って来ましたから。」といって笑っている。 「お名前覚えていらっしゃらないのでしょう?それならなおさら必要ですからゆきさんで良いじゃないですか。これからいっしょに旅するのにお名前呼べないとお話しずらいですから。」 花よりも早口だしちょこまか動いて動物みたいだ。 「あ、失礼しました。僕は今日からお供させていただきます六地蔵の末っ子ですよろしくお願いします。」とちょこんと頭を下げた。
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