睦月の戯言御伽草子〜雪の一片〜 Copyright (C) 2002-2015 Milk Mutuki. All rights reserved
道標|過去へ|それから
ここはすでに僕の憩いの場に変わっている。 もちろん正座ももうずいぶん平気になった。主人が暇を見つけてはお茶をたててくれる。自分でできればいいのだけれど、と思わなくもないけど旅籠の仕事を手伝ったときのこともあるし今の状態がいいような気がして何もしないでいる。 「お茶にしては早いですね?」 主人がやってきた。 「うん、訊きたいことあってさ」 「なんでしょう?」 「宿の前の三叉路さぁ。どこにいけるの?」 「ああ、行ってみたんですか?」 「うん、行ってみたんだ。歩き出したと思ったら露天風呂の前だったよ。」 「あの先は、村があるんですよ。どの道を行ってもね。」
教えてくれないのかと思ったら案外あっさり教えてくれた。今まではなんとなくはぐらかされていたのだけれど今日は違った。 主人の話によるとこの先には3つの村があってそれぞれに役割の決まった村でそこに必要な人や動物だけが暮らしているんだそうだ。 僕がいけなかったのは行こうとした道が僕にあっていなかったかららしい・・・。 「いまのあなたには露天風呂が一番あってるってことですよ(笑)」
なんて最後には言われて少し気分が悪くなったが考えなくても僕は今ここが一番気に入っている。
だけど、自分の行きたい道をいけないってなんだかいやな感じだ・・
|