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人物紹介


電話
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「俺、お前の事、いい加減に思ってる訳じゃないから。大切に思ってるからさ。
 だから、セーターもすげー嬉しかったし・・」

K先輩は、そう答えてくれました。

その答えは、決してだから付き合えるというものではありませんでしたが、その時の私には十分なものでした。
K先輩が、ここまで私に対し誠実な返答をしてくれるものとは、期待していませんでした。
私は、K先輩にきちんと自分の事を考えてもらえてたということが、何より嬉しかったのです。

私は、ただただ「有難うございます」と「変な事聞いてすみませんでした」の言葉を何回も言った気がします。
公衆電話から掛けてきたK先輩は、あまり小銭をもっておらず、数分で慌てて電話を切りました。

そして、年が明け。
K先輩は進学のことや、バイトや、スキーに忙しい日々が多くなりました。
その頃、私と母の仲は最悪な状態で、友達からの電話も、母が出ると
「いません」
と切られてしまうことが何回かありました。
学校に行ってから、友達に言われて初めて、私は毎回その事実を知りました。
K先輩からの電話も、一度、そう言って切られたことがあり、それも翌日電話をした時に知りました。
バイトの帰りの時間では、K先輩が帰宅していない日が多かったのですが、そんな状況では家からK先輩に電話を出来るハズもなく。
代わりに「電話してくる」と言って、家を出るようになりました。
大概、21時頃に電話をして、それでK先輩が居ない時には一度家に戻り、22時過ぎてから、二階の部屋から抜け出すようになりました。
時々、K先輩からかかってきた電話に父が出たときには、父は取り次いでくれましたが、父の前では話す事が出来ず、一度切ってからやっぱり外から掛け直していました。

そんな日々が2ヶ月ほど続いたある日。
バイトでいつもより、少し遅く帰宅し、21時近くにまたK先輩に電話を掛けに家を出ました。
電話を掛けると、出た途端にK先輩は

「ごめんな」

と言いました。
何の事か分からず、「え?何の事ですか?」と聞き返すと、

「え?お前、それで電話してきたんじゃないの?」

と言われました。


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一気に頭に血が上っていく感じがしました。
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「恋愛履歴」 亞乃 [MAIL]

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