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人物紹介


振られたショック
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I君と会った翌日。
電車で紹介者である友達に会うと、

「なんかねー。ちょっと違ったんだって。ごめんね」

と言われました。
元々、I君が希望して会ったのですが、実際会ってみたら自分のタイプでは無かったということなのでしょう。

「ああ、いいよ。気にしないで」

と笑って答えましたが、時間が経つに連れて徐々に何故か私の気持ちは落ち込み始めました。
本来なら、O君との一件があって、会うのは嫌だったはずでした。
友達が頼み込んできたので、渋々会ってみただけのはずでした。
ともかく、会うだけの軽い気持ちでした。
「断られる」事があるということを、その時まで、全く考えていませんでした。
なのに、私は思いのほか、大きなショックを受けていました。

I君は、私と別れた後、すぐにその紹介者である友達に言ったそうです。
それが、余計にショックでした。
付き合ってもいないし、ほぼ初対面の顔合わせなので、振られたとは言わないのかもしれませんが。
即座に考える時間も無く、断られたというのは、振られた時以上にショックでした。
今、思えば、お見合いで断られるっていうのと似てるんだろうな、などと笑い話しになりますが、そんな余裕はカケラもありませんでした。

I君に一目惚れをしたとか、好きになりかけたとか。
だから、振られたことがショックだとか。そういうのと少し違ったような気がします。
振られたと言えば、K先輩にも振られた事になるでしょうし、F君も同じです。
でも、彼らの時の数倍、私の落ち込みは激しいものでした。

彼らとは同じ学校で、何度も顔を合わせ、深くは知らずともそれなりにお互いを知っていて、その上で振られたのです。
でも、I君は違います。
たった30分程度会っただけで、終ってしまいました。
たった30分程度で、自分を判断されたのだと感じました。
初対面で振られるということが、物凄くショックでした。

私の中で断られたということが、振られたことになり、それはイコール嫌われたという事になっていきました。

話してみたら、もっと違うかもしれないのに。
近づく時間もくれず、あんだけで私の何が分かったっていうんだろう?
たった一回会っただけで嫌われるほど、私は嫌な女なの?

グルグルとそんな事をずっと考え続けて鬱々としていました。

その頃。ホットロードという漫画が流行っていました。
その漫画の主人公の女の子に、私はとても憧れていました。
彼女の持つ雰囲気に、憧れていたのだと思います。
その他の少女漫画にも影響を受けました。

単純な事に、I君に振られて私が決心した事は、そういう独特の人に流されない雰囲気を持つ女になろうと思い立ったのです。
今まで、K先輩との事にしても、私は自分と言うものがあまりにも無い状態で、相手に翻弄されるだけでした。
まったく異性を意識しない男子や、友達からは、どこか大人びた影があるので(今から思えば笑えますが)、一見近寄り難いと言われていました。
ただ、話してみれば、その頃の私はどちらかと言えば突っ込み役で、バシバシ物を言う面白い子と思ってもらえていたようでした。
なのに、好きな相手の前になると、自分のままでは居られない状態で。
振られる度に、あれは普段の私じゃないのに・・と自分を出せなかった事を悔やんでいました。

部活の為にショートだった髪を、サラサラと落ちてくる程度まで伸ばす事にしました。
元々、茶系の癖の無いストレートな髪質は、すぐに思った通りの髪形になりました。
服装にも、気を遣うようになりました。
そして、前にもまして異性に興味を持たなくなり、代わりに女子高生活を楽しむようになっていきました。

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「恋愛履歴」 亞乃 [MAIL]

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