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人物紹介


紹介
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公立高校を落ちて、無いだろうと諦めきっていたところで、K先輩と偶然に再会しました。
目が合った瞬間、お互いに驚いた表情だったと思います。
K先輩は、前から3番目の座席に座っていて、そこそこ混雑していたので会釈だけして、私は奥に入りました。
後ろから、時々K先輩を見ると、先輩は寝癖の頭をしきりと手でなでていて、その様子がなんとも可愛らしく思えました。

バスが駅に着くと、先に降りた先輩が、私が出てくるのを待っていてくれました。

「まだ、部活やってるんだ?」

K先輩は私の荷物を見ながら言いました。
そして、

「駅まで持ってあげるよ」

と言ってくれました。
相変わらず、K先輩は優しいんだなぁ・・・と思いながら、甘える事はしませんでした。
思えば、K先輩と肩を並べて歩く事すら、中学の時には無かったので、今回が始めてで、ドキドキしました。
K先輩は、私の高校を制服でどこだか、すぐに分かったようでした。
そして、その前の年の夏休みに、偶然スーパーで出会った時の話になりました。

「あん時、まじ、俺ビックリしてさ。変な顔しただろ?ごめんな。」

K先輩が謝るので、私はおかしくなって、笑い出しました。

「そんなに笑うなよ。お袋と一緒だったからさ、みっとも無いとこ見られた気がしてさ」

K先輩は、やはり、恥ずかしかったようでした。
私は、

「そんな事ないですよ。親孝行でいいじゃないですか」

と答えました。
自分でも、こんなに気楽に言葉がスラスラ出てきたことに、正直驚きました。
そして私は、通学時間に会えることは無いと思い込んでいたので、聞いてみました。

「K先輩、いつも、この時間のバスなんですか?」

K先輩は、

「いや、今日は寝坊した。いつもは、2本ぐらい前のバスかな」

と答えました。
本当に、偶然が重なったのだと、嬉しくなりました。
改札を抜け、「じゃ、また」と言って去っていくK先輩の後姿を、私は見えなくなるまで見送りました。
果たして、「また」があるかどうかも分かりません。
それまでも、何回か「また」という言葉を聞いてましたが、どうやら先輩の口癖なんだろうな・・・と思うことにしました。

それ以来、私は同じバスに乗る事も無く、K先輩と会わないまま過ぎていきました。

高校に通う電車では、他の男子校の高校生も乗っていて、毎朝同じ時刻の同じ車両に乗る私たちが会う顔ぶれは、いつも同じでした。
私と一緒に通学をしていた友達であるRは、とても美人で、いつも電車で注目の的でした。
特に、隣中学出身の男子校生は、毎朝、R目当てに同じ車両に乗ってくるようでした。

その頃、その男子校生徒とは、お互いに女子高・男子校ということで、友達の「紹介」で知り合うというのが流行っていました。
その男子高生の中に、私と同じクラスの子の中学からの友達が居て、ある日、話を持ちかけられました。
その男子は、毎朝同じ電車で会う事もあり、私は興味本位でその話を受けました。
それが、O君でした。

彼は、その頃のジャニーズ系で、身長もあり、見た目は悪くありませんでした。
家も、隣中学ということで、比較的近所に住んでいました。
最初は、その友達と私の3人で、お茶をしに行きました。
電話番号を交換し(当時はまだ、携帯電話はありませんでした)今度、遊びに行こうということで別れました。

翌日、紹介者である友人が、O君から電話があの後あったと言われました。

「なんかねぇ、亜乃の下の名前聞いてきたよ」

確かに、紹介してもらった時に、私は下の名前を言いませんでした。
それを聞くということは?
どういう事なのか分からないでいると、周りで話を聞いていた子達から

「名前で呼びたいんだよ〜〜〜っ」

とかわかわれました。
それを聞いて、なんとな〜く。私はあまり良い気分ではありませんでした。
いきなり、名前を呼ぶなんて馴れ慣れしい。
そんな風に感じたのかもしれません。
私は、それまで男子からは名字で呼ばれていたので、下の名前を呼ばれる事に抵抗がありました。
なんだか、下の名前で呼ばれる事は、特別な事だという意識があったのです。
あのK先輩でさえ、私を名前で呼んでくれたことはなく。
父親以外の男性に、「亜乃」と呼ばれる事には、もの凄い嫌悪感がありました。
それは、恋人にとっておきたいという想いがあったのです。

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「恋愛履歴」 亞乃 [MAIL]

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