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人物紹介


告白
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N君は、確かに「いいよ」と言いました。
予想していなかった訳ではありませんが、思わず

「え?いいの?」

と聞き返すと、N君は「うん」と言いました。

これで、私の失恋は確定しました。
震えそうになる声を抑え、「ごめんね。突然電話して」と言って電話をきりました。
職員室の前の公衆電話を使った事が、多分、良かったのだと思います。
先生や生徒が時々通ることによって、私は人目を意識し、自分を保っていられたのだと思います。

電話を切った後も、何か現実感が無く、ただA美の顔を今は見れないと思いました。
取り合えず教室に行くと、仲の良い友達が残っていました。
その子に、今の電話の出来事を報告することで、なんとか気持ちを落ち着かせました。
友達は、N君の見る目が無いんだよ。などと慰めのような励ましのような言葉を掛けてくれました。
でも、彼女が心配してくれるほど、私はショックを受けては居なかったような気がします。

悪い結果を予測するのは、私のクセでした。
予測していれば、大概の事に対してはショックが小さくて済みます。
なので、失恋して悲しいという想いはありましたが、「やっぱりね」「そんなもんだよ」と自分を慰める事が出来たのだと思います。
そして心のどこかで、N君が私ではなく、A美を選んだという事で、ほっとする自分も居ました。
ほんの2ヶ月嫌がらせを受けた。
たったそれだけなのに、私はA美に対して、自分の気持ちの前に、機嫌を損なうような事は極力避けたいと思うようになっていました。

翌朝。
A美と一緒に登校する道で、私はN君に電話をして気持ちを聞いた事を話しました。
A美は、「ほんと?ほんとに『いいよ』って言ったの?」と聞いていました。
その時のA美の表情に、言葉とは裏腹に特に驚いた様子は無く、彼女は彼女でどこかで自信があったのかもしれないな・・・などと感じました。
A美は、私が何故突然N君に電話をしたのかは、聞いてきませんでした。
彼女の中で最初から、私に先に行動(告白)させて、結果を見たいという考えがあったのかもしれません。
だとしたら、私はまんまと、その作戦に乗ってしまったということになります。

でも、私はそうかもしれないな。A美にはめられたのかな。と思っても、それを悔しい等と思う感情は湧きませんでした。
上機嫌のA美を見て、私は「やっと終ったなぁ」という安堵感を持っていました。
これで、もう、A美に嫌味を言われたり、せっつかれたりすることも無くなる。
失恋の痛手よりも、その開放感が数倍、その時の私にとっては大きなものでした。

そして、クリスマスの前日。
放課後、部室へ持ち帰る道具を取りに体育館へ行くと、体育用具置き場の横で話すA美とN君の姿がありました。
私は咄嗟にまずいと思い、引き返す途中で会った後輩に、「先に帰るから」とA美へ伝言を頼み、そのまま荷物を持って一人で家に帰りました。
これで、カップル誕生か。そんなことをボーっと考えていました。

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「恋愛履歴」 亞乃 [MAIL]

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