新たなライバル
....................................................................................................................................................................
|
A美に対し、負けたくないと思い始めたとは言っても、当のN君の気持ちが分かりません。 N君と目が合う回数が増えた程度では、A美が言うようにN君が私に好意を持ってるという自信は持てませんでした。 周りの友達は、A美には負けるなっ!と励ましてくれました。 あんな、意地悪な女は、N君は好きにならないよ。とも言ってくれてました。
でも、実際問題。N君が、今回の嫌がらせの大元がA美だということに、気付いているとは思えませんでした。 A美は、特に外見がどうのというより、頭も良く、面白く明るい子で、そのキャラクターで皆に好かれていました。 現に、私は同じクラスだった2年の時から、彼女に夢中だった男子を知っていました。 でも、A美が、その男子を気持ち悪がっていたことも知っています。 私とその彼は、比較的仲が良い方で、色々話をすることが多かったのですが、ごく普通の優しい男の子でした。
彼のその想いは、クラスが変った3年になっても同じで。 その彼に頼まれて、私は、A美にプレゼントを渡すことになりました。 嫌がらせが終わり、A美と徐々に会話が増え始めた10月のことでした。 部活に行った私は、部室でA美にそのプレゼントを渡しました。 でも、その時のA美の反応は、「やだ〜〜っっ気持ちわるーーっっ」で、なかなか受け取ってもらえませんでした。 私は、彼に、その話は出来ませんでした。好きな子がそんな事を言ってるなどと、言えるハズもありません。
そして、結局。 彼はA美に酷い振られ方をしたらしく、かなり激しく落ち込みました。 彼にとって、いや、多分、殆どの周りの人間にとって、彼女は「性格がいい子」として評判でした。 その性格が良い子に、酷い言われ方をしたということは、自分がよっぽど嫌われる存在なんだろう。 彼は、そう思ってしまったようでした。 後から聞いた事ですが、どうやらそのプレゼントを、A美は付き返し、「気持ち悪い」とまで言ったそうです。 私は、自分がA美の性格を知りつつも、彼に言わなかった事を後悔しました。
この件をきっかけに、A美はN君に積極的になっていきました。 自慢とも思えるように、A美が彼を振った話を私にすることで、彼女が「自分はモテる」というような自信を持ったのだと感じました。
中学生の恋愛の場合、本人よりも周りの後押しが強いことで、相手が気づく事が多かったような気がします。 好きな相手が居ると、側に居る友達が背中を押したり、それに恥ずかしがる自分が居たり。 そんな事を、女子がきゃぁきゃぁ騒いでいれば、その男子が気付くのも当然です。 多分、私もそんな感じだったので、N君に気付かれていたと思います。 ただ、私の場合、部活では殆どN君と話すことが出来ませんでした。 それに比べ、A美は何かとN君に話し掛け、その素振りは端から見ていても、女の子だなぁという可愛らしい感じでした。 きっと、N君もそれを意識し出したのでしょう。 部活中のN君は、前のような柔らかい笑顔が少なくなり、厳しい表情が多くなりました。 きっと、かっこつけていたのだと思います。
そして11月の中頃、N君の誕生日がありました。 プレゼントを渡したA美は、私と一緒の帰り道、嬉しそうに報告していました。 私は、その頃にはなんとなくA美には叶わないと思うようになっていました。 A美がN君を好きだということは、周りがほぼ知っている状態になっていて、N君もまんざらでは無いという風に見えたのです。 もう、私がN君に近づける余地が無いかのように感じていました。
その誕生日の翌日。
..................................................................................................................................................................
|