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人物紹介


嫌がらせ
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A美の機嫌を損ねてから始まった嫌がらせは、表面上はA美がというよりも、その友達であるYとKが中心でした。
「いじめ」とあえて書かないのは、本当にいじめに遭ってた子たちと比べたら、まだマシな方だったからです。
それまで、私は誰かに嫌がらせを受けることも、誰かに意地悪をすることも無く学校生活を送ってきていました。

どちらかと言えば、正義感が強かったので、いじめに遭ってる子を庇う事もありました。
遠足などになると、バスの席を決めたりグループを決めたりする際に、そういう子は「汚い」という理由で女子からも嫌がられました。
そういう差別が嫌いな性格だった私は、その子を引き受けていました。
だからと言って、気に入らないという陰口は叩かれても、いじめられっ子の仲間だと嫌がらせを受けるような事はありませんでした。
決して、クラスのリーダーにも人気者にもならない存在でしたが、普通の子がいじめを出来るようなタイプでは無かったのだと思います。
その代わり、不良と言われる数人の子や、リーダー的存在の女子には、多少、煙たがられていた事は事実でした。

その理由は、よく分かりません。
ただ、ふとした時の目が怖いと男子に言われたことがありました。
その年齢にしては、恋愛以外のことについては、大人びた考えだったこともあり、自分の考えを確立していたので、堂々としているように見えたのかもしれません。
理由はつけられないので、表立っていじめは出来ないけれど、なんとなく気に入らない。
そんな感じで、表面上笑顔で取り繕いながら彼女達が接しているのは感じ取っていました。

きっと、部活でも同じような状況だったのでしょう。
だから、YとKは今まで友達であるA美の手前もあり、少々の嫌味程度で済ませていたのだと思います。
それが、私がA美の機嫌を損ねたが為に、彼女達に嫌がらせをする理由を与えてしまったのです。

最初はA美の不機嫌に伴って、彼女達も私を無視するような形でした。
部活は団体競技では無かったので、部室での嫌な雰囲気さえ我慢すれば済む事でした。
擦れ違いざまに、Yに何か言われる事もありました。
最初は無視していましたが、時には腹が立ち、「うるせぇ」と言い返すこともありました。
言い返すと、少し人より高めの私の声を真似して、オウムのように繰り返えされました。
YやKに何かをしたわけでもないのに、そんな嫌がらせをされる事が理不尽で、怒りが強かった私は、負けたくなかったのです。

そんなある日、下級生と一緒にランニングをしている時でした。
A美たち1年から部活をしているメンバーが居る中庭を通った瞬間に

「○○(私の名字)いらねーーーーっっ」

と男子の大声が響いたのです。
それは、ランニングの間中、(多分、10週近かったと思います)続きました。
男子達を誘発したのは、Yだとすぐに分かりました。
走りながら見た時に、A美は下を向いていましたが、Yはにやにや笑っていたからです。
一緒に走っていた下級生の子は、走りながら私に「大丈夫ですか?」と心配してくれました。
彼女達にとっても、何が起きたのか分からなかったのだと思います。
私は、1コ下の下級生たちと一緒に入部し、一緒に練習をする事が多かったので、彼女達にとっては、A美達に比べて親しい存在でした。

それを機に、部活中でも、いきなりそう叫ばれるような事が始まりました。
わざとぶつかられたり、足をひっかけられる等、細かい事は数々ありました。
下級生達も、今までは先輩後輩の分け隔てが殆どなく、一緒にという雰囲気で部活を楽しんでいたのに、彼女達の顔色を伺うようになりました。
同じ2年から途中入部した同級生のほかの2人には、Yが中心で私への嫌がらせが始まったとすぐに分かったようでしたが、関わりたくないという雰囲気でした。

そして、嫌がらせは言葉や態度だけでは無くなりました。
部活の道具が、ある日、部室に行くと無くなっていたのです。
先に来ていたのは、YとKでした。A美はその日、居ませんでした。
私はすぐに、隠されたんだと思い、探し始めました。
そこへ、Kが来てわざとらしく「どうしたの?」と聞いてきました。
答えるのも面倒で無視すると、「無視してんじゃねーよっ」と言われましたが、更に無視しました。
すると、「なんか、探し物?」と聞いてきました。
確実に、Kがやった本人では無くとも、Kは知っているのだと思いました。

私が、無くなった物を言うと、Kは「どこいったんだろうねぇ」と言いました。
空々しくて、吐き気がしました。
無視すると「心配してやってるのに」と言われたので、思わず「自分達が隠したくせにっ」と言い返しました。
すると、Kは、「私は知らないよ。でも、なんでこんなことになるか分かる?」と聞いてきました。
分かるも何も、こんなことをされる理由が例えあったとしても理不尽すぎる。
黙っているとKは言いました。

「Yに聞いてみなよ。」

後から分かった事ですが、全ての嫌がらせはYがしていたことで、Kはそれを止めようとしたけれど、無理だったこと。
A美は、それを知ってか知らずか黙認していたようだという事でした。

部室を出ると、体育館ではYが男子部員と喋っていました。
私を見てニヤニヤ笑いましたが、それを無視して職員室へ行きました。
我慢の限界でした。
職員室の顧問の席に行くと、私は部活を辞めたいと言いました。
理由を聞かれましたが、答えませんでした。
「後、もう少しだから考えろ」と顧問に言われ、その日はそのまま帰りました。
それから、2日ほど、私は部活を休みました。

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「恋愛履歴」 亞乃 [MAIL]

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