不安
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K先輩達が、大晦日の日に神社に来てた事を知りました。 私自身も部活のメンバー男女数名で初詣だったにも関わらず、K先輩のグループに女性が居た事が気になりました。 多分、自分に先輩の恋人だという自信が無かったせいもあるのでしょう。
中2の自分が、1コ上の先輩たちに比べて、ものすごく子供だと感じていましたし、何よりK先輩と話す事すらもどかしい状態では、先輩も楽しくは無いだろうなと。 普段の自分が全く出せない状態では、K先輩に暗い子だと思われても仕方ありません。 もっと美人で活発で、楽しい人に取られてしまうんじゃないか? そんな事を考え、不安になりました。
それに比べ、部活の男子メンバーと居る時はすごく気楽で楽しくもあり。 普段、制服姿しか見ていないので、初詣で見た彼らの私服姿に、少しドキっとしました。 K先輩とは付き合ってはいるけど、感覚は雲の上の人のようなもので憧れで。 本当に楽しく付き合うとしたら、同級生の方がいいのかなぁ? そんな事まで考えてみたりもしました。
そして、新学期になり。 中3の先輩たちは、学校へ来ることが少なくなっていきました。 たまたま、K先輩の担任が、私の部活の顧問でした。 職員室で、たまたま開いていた志望校のリストで、私はK先輩の受験高を知りました。 その高校は聞いた事も無く、電車で一時間はかかる遠い場所にありました。
部活の顧問は、私がK先輩と付き合っている事を知った時、
「Kか?あいつなぁ・・・・」
と言葉を濁らせました。 かなり気になった私が笑いながら突っ込むと、
「う〜ん・・・あいつ、女好きだからな」
と先生は苦笑いをしながら言いました。
確かに。 私が始めてK先輩と出会った時も、彼は女性数名の中に一人でいました。 でも、実感として「女好き」というのがどういった事であるのかを、その時の私には分かりませんでした。
「女好き」=「モテる」というような認識をしていたのだと思います。
徐々に、私の中で不安が大きくなっていきました。 彼氏とはいえ、デートした思い出も無く、やっぱり恋人同士とは言えないんじゃないだろうか? でも、クリスマスにプレゼントを持ってきてくれた。 それだけしか、私には「K先輩に好かれている」と思えるものがありませんでした。
そんな中、K先輩と学校で会う事は殆ど無く2月に入り、受験の日が近づいてきました。 せめて、「がんばってください」ぐらい言いたい。 私は、受験日の一日前。 学校から帰った夕方、K先輩へ2度目の電話をかけました。
電話には、K先輩本人が出ました。 私が「受験、頑張って下さいね」と伝えると、
「そっちも、テスト頑張って」
と言われました。 私の学年のテストも間近に迫って来ていました。 たった、それだけの1分無いぐらいの短い電話でした。
そう言えば、私は「K先輩」と呼んでいるけど、私の名前を呼ばれたことが無かったのです。 以前は「お前」呼ばわりだったのに、付き合い始めてからはその呼び方すらされていません。 私は、「そっち」と言われたことが、少しショックでした。 今なら、どんな気持ちで言ったのか分かります。 どうやって呼べばいいのか、K先輩だって戸惑っていたのだと思います。 でも、そこまで私の頭は回りませんでした。
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