K先輩との出会い
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同じ部活の先輩へのアイドル熱が冷め、夏が終わり。 衣替えが過ぎた頃のことでした。
授業が終わり、体育館の女子更衣室に入っていくと、そこには女の先輩達が集まっていました。 その中に、何故か一人、見知らぬ男性が混じっていたのです。 それが、K先輩でした。
男が居るとは思っても居ない更衣室に居たものですから、私は面食らいました。 K先輩も、一瞬、びっくりしたような表情でしたが。 先輩たちに挨拶をしたはいいものの、男性が居ては着替えができません。 戸惑っていると、K先輩は私と隣にいた友達を見ながらいいました。
「お前たち、双子なの?」
出会って初めて話し掛けられた言葉が「お前たち」。 勿論、私と友達は他人であって、双子でも姉妹でもありません。 似てると言われたことすら無かったのですが、それに対してよりも、「お前」と呼ばれたことに驚きました。 クラスの男子とは、少し距離をとった状態で特に仲の良い友達もおらず、 男の兄弟も居ない私にとっては、異性に「お前」と呼ばれたのは初めてでした。
それ以来、K先輩は何かと部活が違う私たちのところへ顔を出すようになりました。 最初は、戸惑っていた私ですが、K先輩の馴れ馴れしい態度にも馴染んでいきました。
出会って数週間が過ぎた頃。 ある日、体育館でK先輩が、数名の他の男の先輩たちと話をしていました。 私が入って行くと一斉に振り向き、K先輩以外の先輩達は、ニヤニヤしつつ、私の顔を確認するかのように横を通り過ぎて出て行きました。 その頃には、話す事にも慣れていた私はK先輩に聞きました。
「みんな私の顔見てたけど、なんか言ったんですか?」
私には姉がおり、先輩たちは姉を知っているのです。 だから、何かの時に、そのような事で先輩に言われている事が今までもあったので、その類だろうと思いました。
「いや、あいつらとさぁ、誰がカワイイと思う?って話になってさ。 あいつらは、テニス部の○○ちゃんだって言うんだけどな。」
そのテニス部の女の子は、スポーツ万能、頭もよく、何よりも美人で有名でした。 休み時間に、同級生だけじゃなく、先輩たちからも告白をされているシーンを廊下でよく目撃してました。
「ふーん。やっぱり、あの子はモテモテなんだなぁ」
素直に感心しつつ先輩を見ると、真面目な表情でじっと私を見ています。
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