『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2007年11月13日(火) 冬先、藍空の手紙

マグカップを、両手でくるむ季節です。

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くもりぞらばかりたくさんみている、
ひるまの灰色に、星なし夜、月なし夜。
ぼくの回帰する居所をうしなったらしい
山積みになっているたくさんの時間の上に座って
どれを切り取っても見覚えのあるような、ないような
わからないことを確かめる素材

まぜあわされてしまうキノウ
まぜあわせてしまうキノウ

「どこだらう、どこへいるのだらう」

…………。

容赦なくじかんは波飛沫をたてて全部をおしながす
のりおくれたまま、それなら溺れるかと
水のひとつぶがときにささやく
甘くて、つめたい音を立てて耳たぶからひびく
墜ちていった赤く呪われた機体もて
この日も、また

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おしあわせに、なんて
言われたらたぶん凍ってしまう
針の目をつつくように
とがりきった言葉はふりかかるだろうか
なにもかもこわがるおろかしい
このしんぞうのなかに

みなの通り過ぎた道のしろい砂に
うずくまって眠る影
しずかに

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庭の朝顔がまだひらいているよ
……苦笑ではなくて
縮んでゆくけれど色を変えながら、それでもまだ
いきのびていること……を

だれかに言いたかった

とても遠くにある国や、大きな手で
そらをなぜているあの場所からくる手紙のやうなもの
ぼくが目をひらきかなしみのなかを歩くならきっと
それらを、うけとることは、できるだろう
しあわせでいてください
あらゆる頸城から解放されて、どうか

ささやかな記憶と思い込みに支えられた、
うつくしい、手紙の数々


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