| 2005年08月09日(火) |
Autumn Snow |
埃のようにふりつもれ あらゆる白のかけら くだかれて 四隅から視界をうめてゆく
ぼくなんて無力でしかなかったと 降ってくる白い灰のなか そらを見あげた、放りだした足もみえなくなるだろう ゆっくりと伸びてゆく髪の毛の黒さが 下のほうでうごめいた
「かぎりなく恋に似てきみに焦がれた」
八月の雪 ぼくはキミの不在 くりかえされる 空白をみつめる
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圧倒的なかなしみや、死や、破壊や、 そんなものが量産されていることに慣れたらいけないと思う その感覚がもしマトモじゃないならマトモじゃないままぼくは 生きようとおもった、あのときどうして自分じゃなくあのひとが 消えなくちゃいけなかったのかと同じ問をくりかえす こころをねじふせても存在しなければいけないときはあるんだよって それもきっと、、、きみには届かない
とどかないとどかないとどかない 床を殴りつけたい腕はそのままきみを抱擁したく 出会えないことにただ かなしんだくうはく
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電池切れのようにねむるのですが めをさましたらまた助走なしで走るよで そんなに走るのが得意でもないはずなのに 「スタァトダッシュ」 飛び込むところはきっとひとつひとつ決まっているのです けれど、そこまでのすべては霧の中だ ひとりじゃ取り払えないよとよわごとをうめいた 夜。
なんでもないあたし なんでもないことに嫌気をさしながら 逆接の接続詞でそのあとをつなぐ それでも血は流さないと 苦しい胸をかかえてきょうも念じる
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平和アーカイブス二日目、消化するというよりも できうるかぎり貼りつけ焼きつけようとするようなこころみ そこにある核は、たとえば懺悔をこえた祈り もうあんまり散乱した意識をまとめられないで 自分にかまっている自分をひきたてるようにして あたしが、あちらのほうを向く
飲み込まれないように、ただ、あちらのほうを まっしろな目と感情で、ただ、出迎えられたら
ふりつもる祈り 音もない熱い熱い 温度
8月9日、深夜
ぼくはキミの不在。
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暑くなくて風があって気候がよくて ああこんな日はお気に入りの服を着て歩いていけたら きっといいのだろうと思う のだけれども なぜだか重たいのをひきずりあげられないで ねむりたいなねむりたいなと くるくる点滅
気管の苦しいのはやや、なおりましたよ なんなんでしょう、そのうち検査でもするか?
少し休めたらいいなと思うけれど その休み、がピリオドになってしまいそうで もうそれでオシマイ、と終止符の打たれて閉じられそうで ぼくがけりをつけられないまま八月の午后
あの人がむかしむかし書いた詩をはじめて読んだ フィクションかそうでないか判らない淡いの境目、 けれどきっとその肉体にとっては真実なのだろうということが こくこくと織り紛れていて、少しだけ戸惑った ああこんなことを知っていてよかったのだろうか。 血も痣もかなしみも憎しみも みんなみんな。
暗がりの力は存外につよく すいとられないためには 目をそらすのか逃げるのか 否定をしたらいちばん簡単だった 見えないことにしたら、きっと
枕の上で手紙を綴って、気がつくと朝がくる ほっぺたの横で夜を越した便箋に うすい灰色の文字が散っていた
あいまいな力で覆われていく ひるがえる扉のむこうで たぶんとてもしずかな狂気だ
8月9日、午後
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