眠りからさめたあとの頭の中では もう、白い白い一日なのでした くたびれたらしいことがうまく受けとめきれないで ぼんやり首を傾げているような
なつやすみ
スイカペンギンをいっぱいみた、 ああ、ほかになにがあったろう? 霞をとりのけようとする 手を振りまわす これ以上遠くへゆかないように
誰かに会いたい病になってしまう さみしい病になってしまう それは、少し、とても、こまる
夏果実の酸味が恋しい ふれられないあのひとのぬくもりについて 恋しいとわからないのと同じくらいくっきりと
太陽の下をぼんやりと移動していく感じ ココロここにあらず、カラダそこにあらず、 雑然としたものごとだ 人混み、噂話、誰かへの悪意やわるくちや そんなものを目や耳や肌が拾い上げてしまい…… ぷるぷると首を振る 頓服、というものの存在をすこしありがたく感じた 座り込んでしまった椅子のとなりに壁があること、とか くたりともたれられるものを見ないように見ないように 歩いたあとで
……ひとりだつことについて、これからについて 急に音のない嵐みたいに不穏さがやってくる ひとりでうちのなかにいるときはあまり 感じないですむこと、自分の持ちあわせているものの 頼れなさのようなものにぶちあたって ……キシネンリョはふわふわと漂っているんだなと ざわめくこのエキナカでぼうっと思ったりする 相も変わらず、ふわりふわりと 薄皮いちまい隔てたむこうで、 無表情で
なんにも考えないで今だけしっかりつなごう、と 口に出して言ったよ、霞の向こうでたしかあのとき、あたしが言ったよ
あとはもう たのしかったことを思い出すだけです この、半透明にけむったキズがらすみたいな周囲を とりのけて、、、笑ったことを思い出すだけ 後悔とつながらないこと、 不安とつながらないこと、
きょうもいい日だったねえ、と ためらいもなくふりかえれるように そうして、あなたに語れるように
誰かに会いたい病
ゆっくりと、さびしさじゃないことを思い返して それからゆっくり、ゆっくりねむろう いたみを消しながら できるかぎり やすまること
明日もきっと、しろくてまぶしい日だよね きっと、そうだよね
8月3日、夜
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