べつにもういいのに、 と ぼろりぼろりそんなことば 足跡どおりにこぼれおとしながら あちらこちら歩き 歩いていると言うより彷徨っているみたいで ふと ぐるぐると旋回する周囲
みんなみんな目的とかえるうちがあり みんなみんな会いに行くべきひとがいて 隣の椅子に座ったひとは空っぽになったかティーカップを前に 携帯電話を睨み付けて誰かからのメッセージを待っている 恋人かな きっと、そうなんだろうな
頭の中があんまりにいっぱいすぎて もうなんにもわからないと そんなあたしのかたちがふわふわと移動してゆくのは たぶん、どうでもいい見物でしょう ほらどんどん不釣り合いなものに変わってしまう あたしなんていなくていいのに あたしなんていなければよかったのに 毒づく言葉だけいくらも浮かんで
綿ローンのワンピース、薄水色の小さな花、 引きつっていくしかめつらでそんな装い、 ああ半日前はあたしはこれをすごく好きだったのに 今はもうわからない 訳が分からない
・・・・・・あたしのかたち。
たすけて、
とたぶん全身が叫んでいるのに 頭はそれをわかってあげられなかった また今日も 免疫低下、亢進しすぎ ヘルペスみたいな発疹は痛いよ 痛いよ
あなたの手のぬくもりくらいで ココニイルコトを 少しだけ肯定できるねと笑った 前を歩いていくひとの上着の裾をつかむくらいで それくらいのささやかさで、もういいから
ざあざあと雨が屋根を叩く音 それから誰かの寝息の気配 ささくれて干上がっちまった今日の最後に しずかにしずかに雨を聞く ほら、ただしくひとりになった そのことを感じることができるようになるために もうちょっといっしょうけんめい生きてみなけりゃ 駄目だよということを飽きずにまた 刻んでみる
6月2日、夜
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