緑が めちゃくちゃにきれいな夢をみた 毛糸の帽子とマフラーにくるまって目をほそめて ふきっさらしのロープウェイに乗っていれば 行く手は あんまりに眩しくて泣きたくなるようなひかりで 見覚えのない隣に座るきみに (でもとても大好きなあなたに) ぼくが 夢中になって叫ぶ きれいだねえ、とそんなようなことを ただ
誰もみんな向かい来るつめたい風に目もあけないで 下を向いてやりすごしている、ふきっさらしの乗り物の座席で
ゆくてには あんまりに きらきらしてしかたないみどりの いちめんに 待ち受ける
ひかりだ
ときどき呆然としてしまうような夢を見る 向こう側の世界に半身だけきりひらいて置いてきてしまったような そんな気分で
目をさましたらふたたび熱だった 目蓋の裏には、 泣きそうになるほどにまぶしいあの緑が 残り絵となって ちかちかとしていて
その映像だけ無くさないように ぼくは目をとじる そこに至るまでの出来事のことや なくしてしまった体温のことや、錆びてしまった教室の机 ことばの出ないかなしみやなにかを凌駕して ただただ 覆われようとしていたあのとんでもなく とうめいな色のことだけ記憶に刻もうとして ぼくは目をとじる
どんな絵画も どんな写真も まだ 焼き付けていないあざやかでかなしい 風景のこと
4月27日、夜
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