目がさめたら大きな風がふいているのが苦手でしかたなくて 叩きつける雨の音がからだに痛くてしかたない おふとんから外に足を出すのがこわいんだよとか とうてい、信じてもらえないようなことを言っている びくびくと震えるのは なんでだろうって自分でも思ってみれば不思議で
風の音がきこえると無性にげんきがでるとか そういう時期も、あったような気がするんだけれど
どこに消えたどこに行った あのときの飛び跳ねるような わたし?
とりあえず台風で
風の音がたぶんわたしよりも苦手なんじゃないかって そういう人を知っていて風が吹いてくるとそのひとのことを思う 音沙汰がなくても そうやって思い出している人はすごくたくさんいる こちらから声を出すことが少ないから さよならって思われてるかもしれないけど
ちっとも、忘れてなんかいないよ
沖縄音楽 アイスクリーム 沿線の黄色い花群落 つめたい雨 ミヤザワケンジ たくさんの地図 売れてなさそうな映画 ふてくされた顔
まつわりつく思い出と一緒に 誰かのことと一緒に わたしのまわりには無数のものがちらばっていて わたしからこそぎ落とせないものが すなわちそれであって
10年も思い続けてやまないひとのことも 15年も会ってないひとのことも このあいだ、ばいばいって言ったひとのことも 同じようにしぼりとられるように思い出してしまうとき 昨日にしがみついているわけでなくて、ただ こうしていることのほうがナチュラルだということ 口に出したらつまらない話ばかりで 誰に向かって言うわけでもないけど
……わすれたらきっとらくちんなんだと思う、すくなくとも こうじゃないわたしに少しちがうものになれるのはたしかだと
台風なのに雷鳴までなりひびく 大きな風に大きな音 ばりばりとくずれる こわいことみんな早くとおくへ行ってしまえ ほんとうは ぜんぶわたしの中に潜んでいると わかっているけど
9月29日、夜
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