手をつなげない範囲にあなたがいなくても ゆったりと笑ってまいにちを過ごせるように わたしははやくなりたかった
ママと手をつないで歩いた記憶がなくても パパと手をつないで歩いた記憶がなくても いつもいつも見ていたのは両親の背中でしかなくて 大人の歩調を追いかけて 足早に走るみたいにしていた記憶が 「お出かけ」の全部だとしても
あなた、は はじめてわたしのこののろまな足に合わせて歩いてくれたひとで はじめてわたしと手をつないで歩いてくれたひとで
だからはやくなりたかった 病気じゃないわたしで 元気なわたしで 泣かないわたしで 迷惑をかけないわたしで 鳥が巣をととのえるように わたしははやく ちゃんとしたわたしになりたかった
もうこの恋はおしまいかもしれない そう思ったらからだを引きちぎられたと思った まだわたしはひとりであるけない
あなたが早足でその道を行くならわたしは走ってでもいいから 力のなくなった足を酷使してやってでも追いかけていこうと 思った
病気でも 病気でも 病気でも
つかんではなしたくないものがひとつはあります
1月12日、深夜 真火
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