『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2003年11月08日(土) 顛末

結局ぼくはたんじょうびにおくすりをたくさん飲むことはしなかった

ひるまひとつひとつものごとをかたづけながら
これで別にあとにのこるもののことは
かんがえなくていいやと思っていた
母に誘い出されて地元のデパートのセールに出かけた
こんな時期にセールなんて珍しいと思ったけれど
創業30周年セールだそうだった
誕生日なのでスカートを買ってくれようとしたけれど
ぼくは、あたまのどこかで
お洋服を身にまとうのがつらくてことわってしまった

赤い色のフレアスカート、
あったかい素材のゆらゆらゆれる
似合っていたけれど
日常着にしたちょっとロリィタっぽい雰囲気のするスカートで
指摘されるのが恐かったんだ
またどこかから見えない刃が飛んできて
背中からぐっさりと突き刺されるのが
こわくて

口がきけなくなっていく
声が出なくなっていく
足ががくがくとして
だんだん歩けなくなっていく
だいじょうぶと笑う頬が変なふうにつっぱって
ああオクスリがきれてきたんだと頭のすみでばくぜんと思った

ただ出かけていって買い物をするというそれだけのことで
つかれはててしまったぼくの身体と心をを襲ってきたのは
死にたい死にたい死にたいと叫ぶただの連呼だった
もう終わりにしたい終わりにしてくださいもう
つかれてしまったよ、、、
どんどん萎えていく自分がよくわかってふるいたたせる気力がなくて
ただ、荷物を持ってひきつった笑いを浮かべていた

うちにかえって夜ごはんをむりやり飲み下したら
それがその日初めて口にするまともな食事だったせいもあるのか
それともぼくがもうそんな力も残っていないのか
どっちだかよくわからないけれど、おなかをこわして
全部トイレに出してしまった、ごめんなさい
お祝いの食卓というわけでもなくて特別なごはんでもなかったけれど
それでもやっぱり
固形物を吐き出す自分のからだは
どこかまちがっている、と
そのたびに思うんだ

そうして、もう、おわりにしたかった
頭のなかではもう、さようならしたかった
くしゃくしゃになってゴミみたいに
ひらひらと風にさらわれて消えていきたかった
くたびれはててよれよれになったぼくが

……おくすりさえも飲めなかった

そのまま敷きっぱなしになっているおふとんのところに倒れこんで眠ってしまった
泥のようになりはしなかったけれどそうしてぼくの誕生日の一日が暮れて
目がさめたときはただ6時間後で、
あんなにめちゃくちゃにくたびれ果てて30時間連続起きていた果てに
眠れた時間が6時間なのにかなしくなったけれど

もう、おくすりを
たくさん飲む気持ちは
少し遠くのほうに
去っていてくれた

こっちを見ていることには変わりはないけれど
それでも肩を叩いて引き寄せようとはしない、
そのくらいの、距離が
ぼくたちの間に生まれていたから

26歳

この年齢をぼくはまた生きてみようと思う
弱音ばかり吐くだろうし不愉快なことも言うだろう
ここにこうしてばかなことばかり書いて
お目汚しだ、とひとりで考えているかもしれない逃亡しているかもしれない
また死にたい病に取り付かれるかもしれない
そうしてまた
うつくしいものを見るかもしれない
満点のほしぞらに、ふいうちの流星に、
もしかしたらふってくる雪景色におおわれた空に
たくさんの花に、ともだちとの笑いに
何かを見るかもしれない

とりあえずぼくはここにこうしていきてる
今日を生きのびようとしている
死にたいはすぐ近くにいるけれどそれほど近くにはいない
ただ、ゆっくり注意深く
それを避けてやっていくすべを
ぼくは学び取らなければいけないと、
思った


また一年、また一年、こうしてつながれていったらいいのに

こんなどうしようもないぼくだけど、


マダ、ココニイテモ、イイデスカ



11月8日、誕生日の翌日 真火


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