自分のかえる場所がどこなのかなんて そんなことばはくりかえすような年でもないと思うのだけど 知らないうちにさむい背中を抱えてしまったような夜には 帰る場所についてくそまじめに考え続けて考え続けて そうして気がついたら何にもない場所に進んでいってしまっていたり することがあるんだ
ばかなぼくだよね
そんなぼくをきみは背中から抱きしめたとしよう ぼくがどんな顔をしているのかきみには見えないこと きみがどんな顔をしているのかぼくには見えないこと それでもただ背中をゆだねて温度を交わしていること やすらかさをください
背中から追いかけてくる不安は足が速くて ぴったりとぼくにとりついて離れない 少しずつ少しずつ冷やされた血液がからだをめぐっていって 心臓がうすあかい血を毛細血管までゆきわたらせる ぼくはまるでロボットのように感じはじめることがあるよ ぎしぎし言いながら、 手をかざしたら見える10本の指、10枚の爪、 まるで誰かか他の人の手でもいいんだと思った 天井の穴から覗き見ているみたいな テレビのドラマを見ているみたいな 遠いとおいせかいだったから
まくらもとにおくすりをならべてぼくが静止する 冷えていく背中、
この気持ちを、なんて言ったらいいんだろう
ぼくがここに居る理由は考えつかないけど ここから出ていく理由はいくらでもかんがえつくんだ おくすりだけ散らばっていて どれだけ飲んだらいいかよくわからないで
夜だけ、時間だけ、 ずんずんと進んでいくんだ
「あなたの手のひらのぬくもりをわたしずっと夢みてた」
10月19日、深夜 真火
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