『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2003年08月10日(日) 噴水みたいな池になりたい

ふいに、かなしかったことをひとつ思い出したら
くやしかったきもちが噴き上げてきて次から次から止まらなくなって
わたしのまわりはびしょびしょになってしまった

お肉の入ったカレーライスを食べたかった
手指の皮がむけてべたべたに痛いからハンカチを手に巻いてテストを受けた
夏だけどいつも手袋をしている小学生だった
塩素でいっぱいで体中しみてしかたないプールを憎んでいた

みんなとおなじようなおしゃれがしたかった
半袖のシャツで思いっきり自転車を走らせてみたかった
一緒にお茶を飲みに行きたかった
きれいな色のセーターもキャミソールも着てみたかった
いつだって下を向いて歩いていた
ぎょっとしたようにまじまじとわたしの顔をみて
それから見てはいけないものを見たみたいに目をそむけたたくさんの人たち
わたしを指差してきもちわるいと笑ったひとたち
汚いから傍によるなと言ったたくさんたくさんの人たち
それってうつるんじゃないのと遠目から尋ねた警戒の目
二十歳すぎてもお化粧をしないわたしをまるで人扱いしてくれなかった人たち
傷だらけの腕を目にするなりばっと横を向いた、あのとき電車で隣り合ったおじさん

みんなみんな、
元気にしていますか

アレルギーが増えてるらしいです
みんながこの病気を抱えていないといいと思います
嘘じゃなくて
そう思います

だけど

白いシャツのあっちこっちに血痕がにじんでくるのなんてみたくなかった
脱いだハイネックのカットソーの首のうしろがまっかだったとき
洗濯機の前でわたしは少しだけ泣いた


大学、四年生までちゃんと通いたかったよ


……泣き言なんて言っていたらきりがないよね
なみだとことばはびしょびしょにこぼれてきます
これが時間決めのあふれてくる水で
ライトアップされた噴水みたいに時間がきたらぴたっと止まって
それから何事もなかったみたいにきらきらひかる
きれいな水面になるんだったらいいのに。

そうしたらその水にぱしゃぱしゃ手をひたしてはねちらかして
ちょっとだけあそぼう
そうしてきれいだなって言って
夜の空をみて、笑おう



8月10日、未明  真火


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