一年経ちました。 365日。
短かったけど長かった。 二度とくりかえしたくない数日間、数ヶ月間を含んだ 365日。
長かったな、と思うのは わたしがまだコドモでしかないからなんでしょうか、 わからないけれど。
日記を書き始めてすぐに なぜか サトくんが死んで 灰になった。 しろい骨になった。
わたしは無意識にあなたのあとを追いかけていたのに、その影が ぽっかりと消えてなくなってしまった空白。 さびしいとかかなしいとかせつないとかではなくて 怒鳴りつけたかった、誰かを。 勝手に行ってしまったあなたに対して。 勝手に行かせてしまった、わたしに対して。 誰もが、そばに居たけど、そばに居なかった。
夏の陽射。 ぼろぼろだった脚。
おひさまは、あかるくなんてなかった。 目にしみるそらは、とてもとても青いけど 肌をなぜた風はやわらかいけど だけど ぽっかりと穴が開いたところはふさがらなくてわたしは かなしいという気持ちがわからなかった。
時間が止まったまま。
いつかあなたの年齢を超える前に消えてしまいたいと思う自分がしっかりと生きている。 残念ながら、そこを払拭することが出来ないまんまに 夏が過ぎて秋が過ぎて冬が過ぎて 思う存分の寒さを味あわないうちに 菜の花が黄色い絨毯になって路線をうめつくし、桜なんかが咲いて あなたにあげた蒲公英の花がちらほらと咲き始めている。 そういったことが、焦点をずらしたみたいに滲んで
一年なんて短すぎて長すぎる。
庭に出たら花梨の花が咲いていました。 サーモンピンクの強い色をした、やわらかくてまるい つぼみ。
毎年、この木はここでこの花を咲かせていたと思うのに わたしはこの春になってはじめてその存在に気が付いて カメラを取り出す、手の力がなくて なにかをきれいだと思う、こころが麻痺して
画廊が終わりました。 本当のところ何も語ることのないじぶんを 鎧いながらその場所にいることはむつかしかった。 その場所にいていいのかひっきりなしに自問しなくちゃいけないというのは ばかげたことだけと切実に止められない言葉だったから。
ただ、引っ張り出してくれたひとにはありがとうを言いたいです。 くるしかったけれども。
あと5日です、 あと5日で 一年が経ちます。
あなたがいなくなってから 一年が経ちます。
365日前にあなたがいたということをわたしは憶えてるから 今、あなたがいないということも 同じだけの重みで知り尽くさないと前には進めないのかも知れないです。 25歳。 サトくんは行き先を見失ってわたしの目の前で泣いていたけど おんなじように わたしも今、たぶん、 あのときのあなたと同じように泣いています。
手探りしてもなにもぶつからなくて。 明日がくるのがそらおそろしくて。
それが膨れ上がって、膨れ上がって、どこまでも大きくなって この身体をおしつぶすくらいに大きくなったら わたしは あなたの居るところにひっぱられていくのかな、と漠然と 何度も何度も考えました。
だけど 365日たった今、わたしは生きていて あなたの笑った顔のことを思い出したくて それから、思い切り泣きたくて でも泣く先が見つからなくて 泣いたら終わりになるような気がして ならず
ただ
支えてくれて、ありがとう。
あなたがいなくなってしまったのがとてもくやしくて、それだけで きれいごとで終わらせられないわたしが、まだここにいました。
365日目の今日に。 サトくんへ。
|