お風呂あがりのハミガキ、 かずすくない、残された日課のなかのひとつ。
やがてきみは鳥になる、 と口をついて出た。 スピッツのうたの一節だった わたしはこれがすごく好きだった 長いこと、忘れていたけど。
やがてきみは鳥になる、ぼろぼろの約束胸にいだいて かなしいこともある、だけど夢は続く、目を伏せないで 舞い降りる夜明けまで
夜明けがいつ来るかなんて知ったことじゃなく そんなことを言い聞かせられても諭されるほど素直じゃなく もっとずっとひねくれていて、折れ曲がった 偏屈者のわたしです。
だけどいつか空を飛びたかった、 このからだひとつで 飛びたかったから わたしはこのうたを好きになった、すごくすごく、好きになった
ばくぜんとまっしぐらに死を目指していく心の声のままに 志向してなんてやるもんかと、まだ時折は思えます 泳ぎ渡って行く腕があんまり重たいのですっかり沈んでしまうけど 向かって行く方向を見定められなくて時間に振り回されて 生きていくのにくたびれちゃった、それでもだけど
あんたの言うとおりになんてなってやらない。 わたしの思うとおりになんて、なってやらない。 どこにも行けないけど なんにもできないけど 明日は怖いけど なんにも見えないけど
息をすることに誰かの承諾がいるだなんてばかげたことを まだ思い込んでいる心のきれっぱしを抱えて、だけれども
やがて鳥になりたい。
まなほ
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